伊都国歴史博物館は、福岡県糸島市に位置する、地域の歴史と文化を伝える博物館です。元々は「伊都歴史資料館」として1987年(昭和62年)7月に旧館で開館し、2004年(平成16年)10月29日に前原市立の博物館として新館が開館しました。その後、2010年に市町村合併によって前原市が廃止され、現在の糸島市が新設されたことにより、糸島市立の博物館として運営されています。
博物館は、新館と旧館の二つの建物から構成されています。新館の1階には企画展示室と常設展示室1があり、エスカレーターで3階に上ると常設展示室2があります。3階からは連絡通路を通じて旧館の2階に移動でき、旧館の常設展示室1・2を見学することができます。旧館の1階には少しですが、追加の展示も用意されています。
新館の4階には展望スペース、図書コーナー、研修室があり、ここからは糸島の美しい山々や平野を見渡すことができます。新館3階にあるエスカレーターは、狭く薄暗い演出が施され、効果音と共に「現代と伊都国をつなぐタイムトンネル」となっており、訪れる人々にタイムスリップしたような感覚を与えます。
3階の常設展示室では、国宝に指定されている平原遺跡(ひらばるいせき)から出土した銅鏡や勾玉などの貴重な遺物、さらに発掘時の復元模型などが展示されています。特に、平原遺跡から発見された直径46.5センチメートル、重さ8キログラムの大型内行花文鏡は、日本最大の銅鏡として有名です。
その他にも、糸島市内の8つの国指定史跡から発掘された品々や、市内の遺跡から出土した考古資料、さらには近世以降の日常生活に使われていた用具なども収蔵・展示されています。展示品を通して、古代から現代に至るまでの伊都国とその周辺地域の歴史を深く学ぶことができます。
伊都国歴史博物館では、福岡県平原方形周溝墓(ひらばるほうけいしゅうこうぼ)から出土した考古資料が国宝に指定されています。これには、次のような貴重な遺物が含まれます。
これらは、弥生時代後期に属する方形周溝墓(平原遺跡1号墓)からの出土品であり、「伊都国の王墓」とも称されています。国宝としての指定は、1990年6月29日に重要文化財として、2006年6月9日に国宝として正式に指定されました。特に、銅鏡は方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)、内行花文鏡(ないこうかもんきょう)、四螭鏡(しちきょう)に分類され、内行花文鏡のうち5面分は直径46.5センチメートルに及ぶ大型鏡です。
伊都国歴史博物館は、国宝だけでなく、糸島市指定の有形文化財も多く収蔵・展示しています。これらの文化財は、地域の歴史や文化を知る上で貴重な資料となっています。
伊都国歴史博物館へのアクセスは、公共交通機関と車のいずれかを利用できます。
なお、博物館には駐車場も完備されていますので、車での来館も便利です。