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武蔵寺

(ぶぞうじ)

武蔵寺は、福岡県筑紫野市武蔵に位置する天台宗の寺院であり、菅原道真公ゆかりの天拝山の登山口にあります。その山号は椿花山(ちんかざん)といい、長い歴史と豊かな自然に囲まれた静かな佇まいが特徴です。古くから地域の人々に親しまれ、信仰の対象として大切にされてきました。

武蔵寺の歴史

創建の歴史と伝説

武蔵寺の創建については、飛鳥時代とも奈良時代ともいわれており、正確な年代は定かではありませんが、境内から発見された瓦や経塚から、11世紀頃には寺が建立されていたことが確認されており、九州最古の仏蹟の一つとされています。伝説によると、天智天皇の時代に藤原鎌足の子孫である藤原虎麿(ふじわらのとらまろ)が天皇と協力して七堂伽藍を建立し、椿の木で薬師如来像を刻んで安置したことが寺の始まりとされています。

藤原虎麿と薬師如来

武蔵寺の創建にまつわる伝説では、藤原虎麿が山中で怪火を射落とし、その霊木で薬師十二神将像を作り、堂を建てて祀ったと伝えられています。また、虎麿が子宝に恵まれなかった際、薬師如来に祈願し、女児を授かったという逸話も残っています。その後、流行病に苦しむ娘を救うため、再び薬師如来に祈りを捧げた虎麿は、夢のお告げに従って温泉を発見し、娘の病気を治したとされ、これが二日市温泉(薬師温泉・旧武蔵温泉)の始まりとされています。この伝説は「瑠璃子姫伝説」として伝えられています。

武蔵寺の境内

境内の見どころ

武蔵寺の境内には、樹齢700年を超える藤の木があり、藤原氏に縁のあるこの木は、毎年美しい花を咲かせます。その他にも、観音堂、地蔵堂、大黒堂、伝教大師堂などの諸堂や石仏、五輪塔、心字池、茶室、鐘楼、芭蕉の句碑など、歴史と文化を感じさせる多くの見どころがあります。また、境内には「長者の藤」と呼ばれる藤の木があり、その美しさは地域の人々に広く親しまれています。

文化財と指定

武蔵寺は、その歴史的価値から多くの文化財に指定されています。武蔵寺跡は福岡県指定の史跡であり、紙本著色武蔵寺縁起や古石塔、自然石梵字板碑、武蔵寺経塚群出土品、木造十二神将像などが筑紫野市指定の有形文化財に指定されています。また、「長者の藤」は筑紫野市指定の天然記念物となっています。

行事とイベント

年間行事

武蔵寺では、毎年4月に「藤まつり」が開催され、見事な藤の花が見どころです。また、7月には「瓜封じ」という行事が行われ、地域の人々に親しまれています。これらの行事は、武蔵寺の豊かな自然と歴史を感じながら楽しむことができるイベントです。

アクセス情報

公共交通機関でのアクセス

武蔵寺へのアクセスは、西鉄天神大牟田線の西鉄二日市駅またはJR九州鹿児島本線の二日市駅から西鉄バスで二日市温泉方面行きに乗車し、「二日市温泉」バス停で下車、そこから徒歩約12分(900m)です。また、西鉄高速バスを利用する場合は「筑紫野バスストップ(筑紫野・二日市温泉入口)」で下車し、徒歩約7分(600m)です。

車でのアクセス

車で訪れる場合、九州自動車道筑紫野インターチェンジから約2.6kmの距離にあり、便利なアクセスが可能です。

まとめ

武蔵寺は、長い歴史と多くの伝説に彩られた福岡県筑紫野市の名刹です。菅原道真公ゆかりの天拝山の登山口に位置し、地域の信仰の中心として、また観光地としても多くの人々に親しまれています。自然豊かな境内で、古くから伝わる文化や伝説に触れながら、心静かに過ごすことができる場所です。

Information

名称
武蔵寺
(ぶぞうじ)

博多・天神・太宰府

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