博多どんたくは、福岡県福岡市で毎年5月3日と5月4日に開催される祭りであり、正式名称は「福岡市民の祭り 博多どんたく港まつり」です。動員数は毎年200万人を超え、ゴールデンウィーク期間中に開催される日本最大級の祭りとして知られています。また、博多祇園山笠や筥崎宮放生会と並び、福岡博多を代表する祭りの一つです。
現在、博多どんたくは福岡市、福岡商工会議所、公益財団法人福岡観光コンベンションビューローによる「福岡市民の祭り振興会」の主催で行われています。祭りの中核を成すのは、国の重要無形民俗文化財である博多松囃子です。福神流、恵比須流、大黒流、稚児東流、稚児西流の各流派が「博多松ばやし振興会」を組織し、それぞれの流派が当番を務めます。
博多どんたくの起源は博多松囃子にあります。博多の豪商・神屋宗湛の『宗湛日記』によると、文禄4年(1595年)に筑前領主小早川秀秋の居城である名島城に博多の町人が松囃子を仕立て、年賀の祝いを行った記録が最古のものとされています。これにより、博多松囃子が元々は正月ではなく10月の行事であったことが分かります。
博多松囃子の起源については、平重盛への恩返しとして博多の者が始めたという説や、平安時代に元日節会が各地に伝わり博多で発展したという説などがありますが、確かな起源は定かではありません。
江戸時代には、博多松囃子は福岡城へ藩主黒田氏を表敬する正月の年賀行事として行われ、三福神と稚児が中心をなす行列に博多の各町が趣向を凝らした「通りもん」が続く形で行われました。この構成が現在のどんたくの原型となっています。
明治維新後、松囃子は一時禁止されましたが、1879年には再開され、次第に祝祭行事としてのどんたくが形成されました。戦後、博多どんたくは「博多復興祭」として復活し、現在のように5月3日と4日に行われる形式が確立されました。
博多どんたくは、5月3日と4日の2日間にわたって開催され、各種団体や企業、学校、観光PR団体、有志のグループなどが参加する「どんたく隊」が市内各所で演舞を披露します。企業のどんたく隊は団結力を高める場としても活用されています。
前日の5月2日には前夜祭が行われ、どんたく隊の演舞や福岡親善大使(旧ミス福岡)の選出、ゲスト歌手のショーなどが行われます。これにはRKB毎日放送が関与し、当日深夜にRKBテレビで放送されます。
5月3日には博多松囃子が福岡県庁や博多駅など市内各所を訪問し、祝いを行います。市内の約30か所に設けられた演舞台では、どんたく隊が様々な演舞を披露し、明治通りでは「どんたく広場」としてパレードが行われます。パレードは博多松囃子を先頭に、福岡県警音楽隊や花自動車隊が続き、19時ごろまで続きます。
5月4日も引き続きどんたく隊が演舞を行い、どんたく広場のパレードは10時から20時まで行われます。18時からは総おどりが行われ、祭りのフィナーレを迎えます。
西日本鉄道(西鉄)による電飾を施した「花自動車」が、2日から4日にかけて市内を巡回します。また、海上保安庁の巡視船による体験航海や、博多湾内クルーズなども行われます。
「どんたく」という言葉は、オランダ語で「日曜日」を意味する「zondag(ゾンダーハ)」に由来し、明治政府が祝日を指す言葉として広めたものです。博多では松囃子や通りもんによる祝いの行事を「どんたく」と呼ぶようになり、現在では「博多どんたく」を指す言葉として定着しています。
博多どんたくの期間中には、福岡ソフトバンクホークスのホームゲームが「どんたくシリーズ」として開催されることがあります。また、ボートレース福岡では「どんたく特選レース」として関連競走が行われます。
Jリーグ・アビスパ福岡のホームゲームでは、サポーターがどんたくを祝う装飾を行い、プロレスでは「レスリングどんたく」という興行が福岡国際センターで開催されます。
博多どんたくは、福岡市全体が一体となって盛り上がる大規模な祭りであり、歴史と文化が融合した魅力的なイベントです。毎年200万人以上の観客を動員し、市民のみならず全国から多くの人々が集まります。福岡を訪れる際には、ぜひこの祭りに参加して、その熱気と楽しさを体感してみてください。