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放生会

(ほうじょうや)

放生会は、福岡県福岡市東区にある筥崎宮で毎年9月12日から9月18日まで開催される祭りです。この祭りは、博多どんたく、博多祇園山笠と並ぶ博多三大祭りの一つとして知られ、7日間にわたって様々な神事や賑やかな行事が行われます。

放生会の概要

放生会の期間中、筥崎宮の参道には一之鳥居から楼門、本殿に向かって続く賑やかな光景が広がります。この祭りは、「ほうじょうや」と呼ばれる神道の放生会の一種であり、2年に一度(西暦の奇数年)には御神幸(神幸祭)が行われる伝統行事です。

起源と歴史

筥崎宮の放生会は、「万物の生命をいつくしみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝する」という趣旨のもとに行われます。期間中には供養祈願祭が催され、やむを得ず殺生された生き物や死亡したペットの供養が行われるとともに、商売繁盛や家内安全の祈願も行われます。

この放生会は、「合戦の間に多くの殺生があり、放生会を修すべし」という神託によって始まりました。延喜19年(919年)には、筥崎で放生会が行われた記録が残っています。また、元中6年(1389年)には九州探題の今川貞世が筥崎宮大宮司五智輪院に宛てた文書に「放生会不可怠」と記されています。慶長年間に一度途絶えたものの、延宝3年(1675年)に再興され、明治時代の神仏分離により法会としての形態は消滅しましたが、現在も毎年盛大に行われています。

御神幸(神幸行事)の歴史

御神幸行事は、古くは筥崎宮から博多湾を船で渡り、博多の夷町にあった頓宮(現在の博多区大博町の恵比須神社のある場所)へ渡御を行っていました。しかし、天正年間に戦乱により途絶え、元禄14年(1701年)に福岡藩藩主黒田綱政が寄進を行い再開されました。この行事は福岡市指定無形民俗文化財にも指定されています。

祭りの様子

放生会の期間中、筥崎宮には延べおよそ100万人もの参拝者が訪れます。「ナシもカキも放生会」と表現されるように、この祭りは秋の味覚も楽しめる大規模なイベントとして親しまれています。

日程と神事

放生会の7日間は以下のような神事が行われます。

9月12日

初日祭が行われ、献菓祭(年により9月13日に開催されることもあります)が催されます。奇数年には本宮夕御饌祭と御神幸行列(お下り)が行われ、神輿3体が本宮を出発して約4時間かけて練り歩きます。

9月13日

二日祭(偶数年のみ開催)や献茶式が行われます。また、奇数年には頓宮で朝御饌祭と夕御饌祭が行われます。

9月14日

三日祭(偶数年のみ開催)が行われ、奇数年には頓宮で朝御饌祭と夕御饌祭が行われます。また、御神幸行列(お上り)が行われ、神輿が頓宮から本宮へ戻ります。

9月15日 - 9月18日

9月15日には放生会大祭が行われ、献華祭で花が供えられます。16日から18日にかけては五日祭、六日祭、納祭と続き、最終日には放生神事が行われ、稚児行列や童児育成祈願祭の後、稚魚と鳩が放たれます。

神賑わい行事と露店

祭り期間中、筥崎宮の廻廊ではぼんぼり献燈や池坊いけばな展が行われ、放生会ちゃんぽん・おはじきの展示も楽しめます。また、国道3号沿いから一之鳥居までの参道には約500軒の露店や見世物小屋が並び、かつては自転車の曲乗りやストリップショーが開催されたこともあります。

放生会の縁起物

ちゃんぽんとおはじき

筥崎宮の放生会には、いくつかの特別な縁起物があります。その一つが「ちゃんぽん」です。これは、息を吹き込むと音が鳴るガラス玩具で、明治時代から販売が始まりましたが、一度途絶えた後、1970年代に再開されました。

もう一つの縁起物は「おはじき」です。これは素焼きに彩色を施したもので、厄をはじくとされています。昭和初期に途絶えたものの、1980年に復活し、博多人形師によって様々なデザインが製作されました。しかし、2017年からは放生会の縁起物としての販売は中止され、現在は「筥崎宮おはじき」として年に数回の入荷に限り販売されています。

新生姜

放生会の期間中、参道の露店では茎や葉のついたままの新生姜が販売されています。この新生姜は放生会の風物詩として親しまれています。

まとめ

筥崎宮の放生会は、博多の秋を彩る重要な祭りです。毎年9月に開催されるこの祭りは、古くからの伝統と地域の文化が融合したイベントとして、多くの人々に愛され続けています。

Information

名称
放生会
(ほうじょうや)

博多・天神・太宰府

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