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大宰府展示館

(だざいふ てんじかん)

大宰府展示館は、福岡県太宰府市に位置する歴史資料展示館で、公益財団法人「古都大宰府保存協会」によって運営されています。大宰府政庁跡の近くに位置し、博多人形を使用して再現された「梅花の宴」の立体模型など、様々な展示が行われています。

大宰府政庁跡(都府楼跡)とは

「都府楼跡」としても知られる大宰府政庁跡は、7世紀後半から奈良・平安時代にかけて、九州地方における政治・外交の中心地として栄えた大宰府が設置された場所です。大宰府政庁跡の背後には、古代山城「大野城」が築かれた四王寺山がそびえ、山と共に、千三百年前の当時の景観を今に伝えています。

現在、大宰府政庁跡と大野城は共に国の特別史跡に指定され、史跡公園として多くの人々が訪れる憩いの場所となっています。また、大宰府展示館では発掘調査で明らかになった遺構や出土品を通じて、大宰府の歴史や文化が紹介されています。

展示館の役割と沿革

大宰府展示館は昭和55年に開館し、それ以来公益財団法人古都大宰府保存協会が事務局を運営しています。同協会は、大宰府史跡の整備や維持管理、広報活動、史跡の解説・案内など幅広い活動を行っています。また、展示館は「学校院跡」「観世音寺」「戒壇院」「水城跡」といった周辺の史跡を巡るための拠点としても利用されており、訪問者にとって史跡散策のスタート地点となっています。

館内の展示内容

大宰府展示館では、歴史を学ぶための多彩な展示が用意されています。特に注目すべきは、発掘調査で検出された遺構をそのままの姿で保存・公開している「玉石溝」や、天平2年(730年)に大宰帥・大伴旅人が主催した「梅花の宴」を博多人形で再現した模型です。また、出土品や発掘調査の成果を写真や図面で紹介するパネル展示も行われています。

主な展示内容

玉石溝: 奈良から平安時代にかけての溝が発掘され、当時のまま保存・公開されています。

模型「梅花の宴」: 山村延燁氏作成の博多人形を用いた模型で、天平2年(730年)に大宰帥・大伴旅人の邸宅で行われた「梅花の宴」の様子を再現しています。

パネル展示: 発掘調査の成果を写真や図面で詳しく紹介し、来館者が大宰府の歴史を理解できるよう工夫されています。

展示室: 大宰府関連の出土品や模型を展示しており、歴史と文化に触れることができます。

梅花の宴について

「梅花の宴」(ばいかのうたげ)は、奈良時代の天平2年(730年)に大宰帥・大伴旅人の邸宅で行われた宴会で、梅の花を題材に32首の和歌が詠まれました。この宴会は『万葉集』巻五に収録されており、梅花宴とも呼ばれています。また、日本の元号「令和」の典拠としても知られています。

梅は元々中国原産の植物で、遣唐使によって日本にもたらされました。当時、梅は珍しい植物であり、その美しさが人々の心を魅了していたことが伺えます。この「梅花の宴」の様子は、大宰府展示館の博多人形ジオラマで再現されています。また、大宰府万葉会という市民グループが、毎年2月にこの宴を再現するイベントを行っており、序文や32首の和歌を朗唱する伝統的な儀式が継承されています。

元号「令和」と梅花の宴

2019年4月1日、新元号「令和」が発表され、その典拠として『万葉集』巻五に収められた梅花の宴の序文が選ばれました。この序文には、「初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」という一節があり、この詩的な表現から「令和」という美しい言葉が生まれたのです。

大宰府展示館へのアクセス

鉄道

西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線「都府楼前駅」から徒歩約10分。

バス

コミュニティバス「まほろば号」で「大宰府政庁前」下車すぐ。または、西鉄400系統「筑陽学園前」で下車し、北へ徒歩5分。西鉄の無番バス(太宰府ライナーバス「旅人」)を利用する場合も「大宰府政庁前」で下車すぐです。

Information

名称
大宰府展示館
(だざいふ てんじかん)

博多・天神・太宰府

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