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宝満山

(ほうまんざん)

宝満山は、標高829.6mの山で、福岡県筑紫野市と太宰府市にまたがる位置にあります。別名を御笠山(みかさやま)や竈門山(かまどやま)とも呼ばれ、かつては筑前国御笠郡の中央に位置していました。この山は、福岡市の南東にあり、太宰府市の北東部および筑紫野市の北東部に広がっています。

宝満山は古くから霊峰として崇められており、山頂には竈門神社の上宮が鎮座しています。全山が花崗岩で構成され、英彦山や脊振山と並ぶ修験道の霊峰としても知られています。また、中世には高橋氏の本拠である宝満山城(宝満城)が築かれました。

山頂からの眺望は非常に優れており、西側には脊振山地の山々、博多湾、玄界灘、三郡連山(砥石山、三郡山、頭巾山、仏頂山、宝満山)、英彦山、古処山、馬見山、津江山地、九重山の山々が広がり、福岡、筑後、佐賀の三平野、そして有明海の彼方にある雲仙岳まで見渡せます。稜線沿いに仏頂山や三郡山へと続く道は、人気の高いハイキングコースとなっています。

宝満山は古くから大宰府と深く関わっており、古代から近世にかけて多くの遺構が残されています。最盛期には370の修験道の坊が存在していたと伝えられており、日本の山岳信仰の歴史を考える上で重要な山とされています。2013年10月17日には、文化財保護法に基づく史跡に指定されました。

登山コースの紹介

正面ルート

竈門神社の下宮から始まる正面ルートは、100段ガンギ、中宮跡(梵字が刻まれた岩=当時のご神体が存在)を経由し、杖捨てを経て竈門神社・上宮に至ります。

仏頂山ルート

仏頂山から縦走するコースで、法城窟という宝満山最大の窟を通るルートもあります。この窟には小さな不動明王が祭られており、通り抜けが可能です。峰入り古道としても知られるスポットです。

山名の由来

御笠山

宝満山の最も古い名称であり、筑紫野市の二日市方面から見ると「笠」の形に見えることから名付けられました。古来、山全体が神の憑代(よりしろ)とされ、御神体として信仰されていました。山麓には『日本書紀』にも記された三笠の森の史跡が存在しています。

竈門山

この名称は、山の九合目にある竈門岩による説と、貝原益軒の『筑前国続風土記』に記された、「この山は国の中央にありていと高く、造化神秀のあつまれる所にして、神霊のとどまります地なれはにや」という記述に基づいています。山の形が竈門(かまど)のようであり、常に雲霧が立ち込めていることから、煮炊きをして煙が立ち上っているように見えることが由来とされています。

宝満山

神仏習合の影響で、この山に鎮座する神が「宝満大菩薩」とされたことから「宝満山」と呼ばれるようになりました。また、大宰府政庁の鬼門(北東)の方位に位置し、鬼門封じの役目を果たしていたといわれています。京都御所における比叡山と同じように、伝教大師最澄も宝満山で祈祷を行ったとされています。太宰府天満宮の手水舎は、宝満山から運び出した岩で造られています。

宝満山を水源とする河川

御笠川

博多湾に注ぐ御笠川は、宝満山から流れ出る川の一つです。

宇美川

多々良川に合流し、博多湾に注ぎます。

宝満川

筑後川に合流し、有明海に至ります。

宝満山の自然現象:カエルの行進

宝満山では、5月になると大量のヒキガエルの幼体が一斉に頂上に向かって移動する現象が見られます。この行進は、以前から春に目撃されていたものの、2016年5月に最初の上陸が確認されて以来、毎年有志による観察が行われています。また、2020年10月にはこのヒキガエルが太宰府市の市民遺産に認定されました。

この現象がなぜ起こるのかは未だ解明されていませんが、ある説では「カエルを踏んでしまった登山者の足についた匂いをたどったのではないか」と推測されています。いずれにせよ、この現象は宝満山の自然の神秘として注目されています。

Information

名称
宝満山
(ほうまんざん)

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