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能古島

(のこのしま)

能古島は、福岡県福岡市西区に属し、博多湾内に浮かぶ風光明媚な島です。郵便番号は819-0012で、2024年2月末時点の人口は621人です。福岡市の中心部から船で約10分というアクセスの良さから、行楽地として市民に親しまれています。また、アブラナやサクラ、コスモス、スイセンなどの花の名所としても知られており、これらの花が咲く季節には多くの観光客が訪れます。

能古島の地理と自然

島の位置と地形

能古島は博多湾内に位置し、南北3.5キロメートル、東西2キロメートル、周囲12キロメートル、面積は約3.95平方キロメートルです。島内には山もあり、三角点が置かれている場所の標高は195.0メートルです。この地形からも、能古島は訪れる人々に豊かな自然環境を提供しています。

島の地質

能古島の西海岸には、3億年前の変斑れい岩や結晶片岩が見られます。また、1億年前の花崗岩や、4000万年前の礫岩・紫赤色頁岩からなる残島層(のこのしまそう)も島内で露頭が確認されています。さらに、500万年前に噴出したマグマの火道の跡があり、含鉄玄武岩も島の各地で見ることができます。

福岡市との関係と行政

福岡市とのアクセス

能古島は、福岡市西区の姪浜港から市営渡船で約10分と非常に近く、福岡市民にとって身近な行楽地として利用されています。そのため、離島振興法の指定地域ではなく、1970年に市街化調整区域として指定されています。

教育施設と住民生活

能古島には中学校までしか教育施設がなく、福岡市立能古小学校と能古中学校が同じ敷地内にあります。福岡市で初の小中一貫校であり、少人数教育が行われています。福岡市全域から生徒が通学しており、1クラスは15人から20人程度です。

能古島の歴史

歴史的な変遷

能古島の名称は、古くから「残」「能許」「能護」「能挙」「乃古」など、さまざまな表記が使われてきました。初めて文献に登場するのは『平安遺文』で、731年(天平3年)頃に住吉神社の社領として「能護嶋」と記されています。また、『筑前国続風土記』には、神宮皇后が異国の降伏を祈ったため「残の島」と呼ばれたという伝承もあります。

古代から中世までの能古島

能古島では、古代の遺跡や防人の設置など、歴史的な痕跡が多く見られます。『万葉集』には、能古島に関連する和歌が複数収録されています。中世には、北浦城の遺構が残り、外国勢力による略奪も行われました。特に、1019年の刀伊の入寇や1281年の弘安の役では、島に敵軍が上陸し、被害を受けました。

近世から現代までの発展

江戸時代には、能古島は福岡藩の鹿狩り場として利用され、農業や漁業も発展しました。また、伊万里焼系の染付磁器と高取焼系の陶器を焼いた能古焼が知られています。明治以降、島の主要産業は沿岸漁業と農業で、特に柑橘類の栽培が盛んです。

観光スポットとアクセス情報

観光名所

能古島には、さまざまな観光スポットがあります。春の菜の花、秋のコスモス、冬の水仙が美しい「のこのしまアイランドパーク」や、博多湾を一望できる展望台などが人気です。また、キャンプや海水浴が楽しめる「能古島キャンプ村海水浴場」や、島の歴史を学べる「亀陽文庫能古博物館」なども訪れる価値があります。

交通手段

福岡市営渡船が姪浜港と能古島を結び、片道約10分でアクセスできます。渡船は平日は1日23便、日祝日は21便が運行されており、行楽シーズンには増便されることもあります。また、海上タクシーや水上バスも運行されており、便利に島を訪れることができます。

島の産業と特産品

農業と漁業

能古島では、「甘夏みかん」や「ニューサマーオレンジ」などの柑橘類の栽培が盛んです。また、アサリやその他の海産物も島の特産品として知られています。観光業も盛んで、観光客向けの土産物や加工品も多く取り扱われています。

特産品

能古島の特産品としては、「能古島サイダー」や「甘夏ぽん酢」、「しあわせを呼ぶドレッシング」などがあります。これらの特産品は、訪れた観光客に人気で、島の魅力をさらに引き立てています。

文化と文学における能古島

文学の舞台としての能古島

能古島は、作家の檀一雄が晩年を過ごした場所としても知られています。その娘、檀ふみの著書『父の縁側、私の書斎』には、能古島での一雄の生活が描かれています。また、檀一雄が詠んだ最後の句「モガリ笛いく夜もがらせ花ニ逢はん」が刻まれた文学碑も島内に建立されています。

能古島に関連する作品

能古島は、多くの文化作品にも登場します。例えば、井上陽水の『能古島の片想い』や檀一雄の『火宅の人』が有名です。また、映画『ゴジラvsスペースゴジラ』にも能古島が登場し、漫画『ほとめくかかし』では、能古島の観光施設が舞台となっています。

能古島は、歴史と自然が調和した魅力的な島で、訪れる人々に多くの驚きと感動を提供しています。福岡市からのアクセスも良好で、一日で楽しめる観光スポットが数多く存在します。次回の旅行計画に、ぜひ能古島を加えてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
能古島
(のこのしま)

博多・天神・太宰府

福岡県