シーサイドももちとは、福岡市中央区および早良区にまたがる海岸の埋め立て地であり、ウォーターフロント開発地区として知られています。この地区は、中央区の地行浜と早良区の百道浜を含み、その広大なエリアには多くの商業施設や高層マンションが立ち並び、福岡市の新たなランドマークとなっています。
シーサイドももちは、福岡市の中心部である天神から西へ約4キロメートルに位置し、中央区と早良区の海沿いに広がる地域です。北は博多湾に面し、東側は菰川の河口を挟んで福浜と接しています。南側は地行、西新、百道と隣接し、西側は室見川の河口を介して豊浜および愛宕浜と接しています。この地域は、樋井川河口の臨海部に位置し、人工の砂浜が広がる「シーサイドももち海浜公園」を中心に、多くの商業施設や住居が集まっています。
シーサイドももち地区は、早良区の百道浜一丁目から四丁目、中央区の地行浜一丁目および二丁目を含む広範囲にわたります。これらの地区は、樋井川の河口を境に分かれています。広域的には「百道」と呼ばれることもありますが、行政地名としての百道は早良区役所や地下鉄藤崎駅周辺のエリアを指し、シーサイドももちとは異なる地域を示しています。
シーサイドももちには、いくつかの河川が流れ込んでいます。代表的なものとして、室見川、樋井川、菰川があります。これらの河川は、シーサイドももち地区の自然景観を形成する重要な要素となっています。
福岡市都市計画マスタープランにおいて、シーサイドももち地区は西新地区および藤崎地区と共に「西部広域拠点」として位置付けられ、商業・業務・サービス機能の発展が推進されています。特に百道浜地区は「活力創造拠点」として、情報関連産業が集積するエリアとして発展しています。地行浜地区は、低層住宅や大規模施設が立地するゾーンとして、居住環境の向上が図られています。また、河川沿いは散策や憩いの場として「河川緑地軸」に位置付けられ、緑豊かな景観が維持されています。
百道浜地区の大部分は、住宅と商業施設が共存する「複合市街地ゾーン」に指定されており、職住が調和した街並みの形成が進められています。一方、地行浜地区の一部は商業地域として指定されており、大規模商業施設が立地しています。また、特定の区域においては、建築物の高さや用途に関する制限が設けられており、住環境の保全が図られています。
百道浜四丁目の一部区域では、「シーサイドももち・百道浜四丁目A住宅地区建築協定」などが設定され、住宅地としての環境保全が強化されています。また、百道浜二丁目の一部では、「福岡ソフトリサーチパーク地区建築協定」により、情報関連産業の発展を促進するための規制が設けられています。これにより、シーサイドももち地区全体が、計画的な土地利用と都市開発が進められています。
シーサイドももちの開発は、1977年の「第4次福岡市総合計画」において、内陸部の乱開発防止や適正な人口配置を目的として策定されました。この計画は、「シーサイドタウン計画」として、海岸線の再生や市街地の環境改善を目指したものです。1981年に埋立免許が取得され、1989年のアジア太平洋博覧会(通称:よかトピア)の開催を経て、現在のシーサイドももちが誕生しました。
以前「百道海岸」として知られていたこの地域の沖合いは、1982年に開始された埋立工事によって造成されました。工事は約986.7万立方メートルの浚渫土砂と山土を使用し、浅い海域を埋め立てました。1986年には全工区138.3ヘクタールが竣工し、現在のシーサイドももちが形成されました。
シーサイドももちの地行浜および百道浜地区の人口は、2000年代から徐々に増加してきました。2022年12月末現在、地行浜には1,040人、百道浜には7,422人が住んでおり、合計8,462人となっています。この人口増加は、地区の魅力的な住環境と都市機能の充実に起因しています。
シーサイドももち地区は、福岡市地下鉄や西鉄バスなどの公共交通機関によるアクセスが非常に便利です。特に、福岡市地下鉄空港線の西新駅や唐人町駅からは徒歩圏内で、多くの住民や観光客が利用しています。また、シーサイドももちを巡る観光バスも運行されており、地域内の移動も容易です。
シーサイドももち地区は、主要な幹線道路であるよかトピア通りや地行百道線が交差し、交通の便が良好です。しかし、福岡PayPayドームでのイベント開催時には周辺道路の渋滞が発生しやすく、福岡市では交通対策として、ペデストリアンデッキの整備や臨時バスの導入などを行っています。
シーサイドももちには、福岡タワー、福岡市総合図書館、福岡市博物館などの公共施設が立地しており、文化・教育の拠点となっています。また、RKB毎日放送やテレビ西日本などのメディア関連企業も集積し、情報発信の中心地としても機能しています。さらに、商業施設やホテル、高層マンションなどが数多く立ち並び、活気に満ちた都市空間が形成されています。
シーサイドももち地区は、映画『ゴジラvsスペースゴジラ』やNHK大河ドラマ『北条時宗』のロケ地としても知られています。特に、NHKの撮影時には中世博多の様子を再現したオープンセットが設けられ、多くの観光客が訪れました。
シーサイドももち地区は、福岡市の発展を象徴するエリアとして、今後も成長を続けることが期待されています。住宅地としての魅力だけでなく、商業や情報産業の拠点としての役割も重要です。これからも、多様な機能が共存するこの地区は、福岡市の中核を担う存在となるでしょう。