宇美八幡宮は、福岡県糟屋郡宇美町に位置する神社で、古くから安産の神として信仰されています。旧社格は県社であり、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。
宇美八幡宮では、以下の神々を祀っています:
神功皇后が三韓征伐からの帰途、応神天皇をこの地で出産されたことから、この場所に神社が建立されました。「宇美」の地名も「産み」に由来しており、この歴史的背景から、安産の神として広く信仰されるようになりました。
宇美八幡宮の起源は、敏達天皇3年に遡ります。神功皇后が応神天皇を出産されたこの地に、応神天皇を祀る神社が創建されたことが始まりです。その後、平安時代からは石清水八幡宮との本末関係が結ばれ、鎌倉時代初期から安産の神としての信仰が広がりました。別当寺も「宇美山誕生寺」と称していました。
江戸時代の天保2年(1831年)、大宮司の神武斎宮之介が、福岡藩によって禁止された神道式祭祀を復活させるために尽力しましたが、藩の圧力により自決に至るという悲劇もありました。明治5年に村社に列格し、明治24年には県社に昇格しました。
宇美八幡宮の境内には、神功皇后が応神天皇を出産した際にすがりついたとされる「子安の木」、そして応神天皇の産湯に使用されたと伝えられる「産湯の水」があります。これらの神聖な場所は、多くの参拝者が訪れる人気のスポットとなっています。
境内末社である湯方殿の前には「子安の石」と呼ばれる拳大の石が納められており、妊婦が安産を祈願してこの石を持ち帰り、無事に出産した後に新しい石を添えて返すという古い風習が現在も続けられています。
宇美八幡宮には、国指定の重要文化財である「筑前国四王寺阯経塚群出土品」が保管されています。これらの出土品は、経筒や如来立像、瓦など、鎌倉時代から平安時代にかけての貴重な文化遺産です。
境内には、国指定の天然記念物である「湯蓋の森」と「衣掛の森」があり、いずれもクスノキの巨木が生い茂っています。これらの森は、古代からの信仰の対象であり、現在も多くの人々がその自然の美しさを楽しんでいます。
宇美八幡宮へは、JR九州香椎線の宇美駅から徒歩9分(約750m)でアクセスできます。また、博多バスターミナルからは西鉄バスで「原田橋行」または「上宇美行」に乗車し、「宇美八幡前」バス停で下車すれば、すぐに到着します。
車で訪れる場合、九州自動車道の太宰府インターチェンジから約6.5km、または須恵スマートインターチェンジから約3kmの距離にあり、駐車場も完備されていますので、安心して参拝に訪れることができます。
宇美八幡宮は、その由緒正しい歴史と安産の神としての深い信仰で、多くの参拝者を迎えてきました。境内には神功皇后ゆかりのスポットや、国指定の文化財、そして美しい自然が広がり、訪れる人々に安らぎと敬虔な心を与えます。安産祈願や家族の健康を願って、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。