響灘ビオトープ(ひびきなだビオトープ)は、福岡県北九州市若松区にある、日本最大級のビオトープです。ここでは、自然の豊かな生態系が保護され、市民が自然と触れ合い、学べる場として知られています。2012年にオープンし、廃棄物処分場として埋め立てられた響灘の地形が、湿地や草地、淡水池などを形成し、多様な生物が生息する場所として生まれ変わりました。
響灘ビオトープは、2012年10月6日にオープンし、福岡県北九州市若松区響町二丁目に位置しています。元々廃棄物処分場として埋め立てられた土地に、自然の力で湿地が生まれ、そこにさまざまな動植物が集まりました。現在では、約41ヘクタールの広大な敷地のうち約7ヘクタールが公開されており、多くの観光客が訪れています。
この場所には、環境省のレッドリストに記載されている絶滅危惧種「チュウヒ」やベッコウトンボ、メダカなど、237種類以上の鳥類、284種類の植物が確認されています。特に湿地や草原、池など、多様な環境が共存していることから、希少な生物も多く生息しています。
響灘ビオトープは、環境保護のための重要な役割を果たしています。湿地にはベッコウトンボやメダカなどの希少な生物が生息しており、環境省からも「生物多様性の観点から重要な湿地」として選定されています。また、ネイチャーセンターは、響灘ビオトープの生態系や生物多様性に関する学習を行うための拠点として機能しており、自然と調和した生活を学ぶ場となっています。
北九州市の響灘エリアは、戦前から埋立地として利用されてきた地域です。高度経済成長期には、重化学工業が発展し、環境問題が大きく取り上げられるようになりました。しかし、その後の市民、企業、行政が協力して行った環境改善の取り組みにより、今日では豊かな自然が再生し、人々が自然と触れ合える場が整備されています。
響灘ビオトープでは、絶滅危惧種であるコアジサシの営巣地が整備されています。砂れき地に植物の繁茂を抑えるための対策が施され、コアジサシが飛来し、巣作りができる環境が保護されています。繁殖期は4月下旬から7月頃にかけてです。
準絶滅危惧種であるミサゴのために、巣を作るための人工巣「ミサゴポール」が設置されています。これは、自然界での営巣状況を参考にして作られ、高さ7メートルの柱の上に直径2メートルの巣台が設置されています。ミサゴの求愛と営巣期は2月中旬から4月頃です。
響灘ビオトープは、北九州市若松区響町一丁目に位置し、若松駅から車で約20分、小倉駅から車で約30分(都市高速利用)です。無料の駐車場が65台分用意されています。
開園時間は9時から17時までで、最終入園は16時30分です。毎週火曜日が休園日となっており、火曜日が祝日の場合は翌日が休園となります。また、年末年始(12月29日から1月3日)も休園です。
入園料は以下の通りです:
身体障害者手帳や療育手帳の提示で無料になる場合もあります。また、北九州市内在住の65歳以上の方は7割引きで利用可能です。
響灘ビオトープは、廃棄物処分場跡地という特異な環境を活かし、豊かな生態系を保護しつつ、市民に自然と触れ合う機会を提供しています。自然環境の保全と生物多様性に関する学びを深める場として、観光客や地域住民にとって非常に魅力的なスポットです。北九州市を訪れた際には、ぜひ響灘ビオトープを訪れ、その豊かな自然を体感してみてください。