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黒崎祇園山笠

(くろさき ぎおん やまがさ)

黒崎祇園山笠は、毎年7月の第3週から第4週の間に4日間にわたり、福岡県北九州市八幡西区で開催される祇園祭です。この祭りは400年以上の歴史を持ち、「喧嘩山笠」とも呼ばれるその激しい動きが特徴です。祭りは、岡田宮、春日神社、一宮神社に奉納されるものであり、福岡県の無形民俗文化財にも指定されています。

歴史と文化的背景

祇園祭の起源と発展

黒崎祇園山笠は、地元の氏子である春日神社、岡田宮、一宮神社の奉納行事として、約400年前から行われてきました。その伝統と歴史は、地元の住民や参加者にとって大切な文化遺産であり、福岡県の無形民俗文化財に指定されています。

笹山笠とその文化的価値

祇園山笠で使用される山笠の中で、特に重要なのが「笹山笠」です。この山笠は祭りの初期段階で登場し、他の山笠とは異なる質素で伝統的な形式を残しています。笹山笠は、昭和43年に福岡県の無形文化財に、昭和51年には無形民俗文化財に指定されました。

お汐井取りと衣替え

黒崎祇園山笠の一部である「お汐井取り」は、笹山笠を使用して行われます。この行事では、海水で山の土台や引き棒などを清め、山を浄化する儀式が行われます。お汐井取りの後、山笠は豪華な「飾山」に衣替えし、祭りのクライマックスに向かいます。

祭りの見どころ

前夜祭の「山笠競演会」

祭りの初日には「山笠競演会」と呼ばれる前夜祭が開催されます。黒崎駅前で行われるこのイベントでは、各山笠が競い合い、祭りの盛り上がりを演出します。笹山笠の伝統的な姿と、飾山に変わる瞬間の華やかさは、この祭りの大きな見どころの一つです。

最終日の「解散式」

最終日には、黒崎駅前で行われる「解散式(フィナーレ)」が行われます。この時点で、山笠が各地域を練り歩き、祭りの成功と安全を祝います。祭りの最後を締めくくる解散式は、多くの観客で賑わい、祭りの終わりを見届ける重要なイベントです。

勇壮な祇園囃子

関ヶ原の戦いと陣太鼓

黒崎祇園山笠のもう一つの特徴は、「祇園囃子」です。この囃子は、関ヶ原の合戦で使用された陣太鼓の勇ましさを取り入れたと言われています。囃子は大太鼓、小太鼓、鉦、ほら貝で構成され、その力強い音が祭りの雰囲気を一層盛り上げます。

「喧嘩山笠」の異名

黒崎祇園山笠は、その激しい動きとエネルギッシュな運行から「喧嘩山笠」の異名を持っています。車輪を軸に曳きまわされる山笠の姿は、見る者の心を掴み、血を沸かせるほどの迫力があります。

笹山笠と飾山の違い

素朴な笹山笠

笹山笠は、その簡素な造りが特徴で、全国的にも珍しい山笠の原型とされています。笹山笠は、釘を一本も使わず、古来からの技術を駆使して組み立てられます。笹を立て、その四方を杉の勾欄で囲み、幕や提灯で飾られるこの山笠は、伝統的な手法が今なお受け継がれています。

豪華な飾山

お汐井取りの後、笹山笠は豪華な飾山に姿を変えます。この飾山は、夜になると電飾で装飾され、その美しさが一層際立ちます。山笠の豪華な装飾と夜のライトアップが一体となり、観光客を魅了する景観が広がります。

黒崎祇園山笠の歴史的な歩み

麻生氏による祇園会の起源

黒崎祇園山笠の起源は、1205年(鎌倉時代初期)にさかのぼります。当時、遠賀郡一帯を支配していた麻生氏が、疫病退散と豊穣祈願のために祇園会を始めたとされています。これが黒崎祇園山笠の前身となりました。

戦国時代からの進化

戦国時代を経て、1600年(慶長5年)には、黒田長政の命により岡田宮と春日神社に須賀神社が奉納され、山笠が作られました。それ以来、400年以上にわたり黒崎祇園山笠は地元の人々によって守られ、進化してきました。

令和時代の変化

2019年(令和元年)には、天皇陛下即位と改元を記念して特別運行が行われました。2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響で主要行事が中止となりましたが、2021年7月には飾山が約40年ぶりに設置され、祭りの精神を受け継ぎました。

祭りの開催期間とスケジュール

お汐井取りと山笠競演会

黒崎祇園山笠の祭りは、7月上旬に行われるお汐井取りから始まります。その後、7月の第3金曜日から4日間にわたり、本祭が開催されます。金曜日の前夜祭と「山笠競演会」、土・日曜日の神社巡行、そして最終日の「解散式」まで、多彩なイベントが行われます。

わっしょい百万夏まつりへの参加

また、8月の第一土曜日には「わっしょい百万夏まつり」にも参加し、黒崎以外の地域でも山笠が運行されることがあります。これにより、より多くの観光客が黒崎祇園山笠の魅力に触れる機会が提供されています。

山笠の運行と地域の関わり

山笠の種類と地区

黒崎祇園山笠では、8つの山笠がそれぞれ異なる氏神神社に属し、運行されています。藤田地区、熊手地区、山寺・熊西地区の各山笠が、それぞれの地域で神社に奉納され、祭りの安全を祈願します。

笹山笠と飾山の展示施設

黒崎祇園山笠の一部は、地元の博物館や図書館に 展示されています。観光客や地元の人々が祭りの歴史や伝統に触れる場として重要な役割を果たしています。

Information

名称
黒崎祇園山笠
(くろさき ぎおん やまがさ)

北九州・門司・小倉

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