北九州市立いのちのたび博物館は、福岡県北九州市八幡東区東田にある公立の博物館です。正式名称は北九州市立自然史・歴史博物館(きたきゅうしゅうしりつしぜんし・れきしはくぶつかん)といいます。
この博物館は、元々次の3つの博物館に分かれていました:
北九州市は、東田地区文化施設整備構想検討委員会の提言(通称: SHINE構想)に基づき、これら3つの博物館を集約し、新たに産業の歴史も加えて展示する博物館を構想しました。この博物館は、新日本製鐵八幡製鐵所の工場跡地の一角に建設され、太陽系の誕生から現代に至るまでの歴史を展示しています。
建物は2001年に開催された北九州博覧祭の恒久施設として建設されました。博覧祭の期間中にはプレオープンとして展示が一部公開され、その後2002年11月3日に正式にオープンしました。
いのちのたび博物館では、自然史と歴史に関する多岐にわたる展示が行われています。恐竜の骨格標本など、迫力ある展示が来館者を出迎えます。特に目を引くのは、ティラノサウルス「スー」の等身大の全身骨格復元です。また、かつてはスペースワールドで展示されていた月の石も常設展示されていましたが、現在は近隣のスペースLABOに移管されています。
博物館では、随時特別展が開催されており、常に新しい展示内容が提供されています。さらに、北九州市の市制50周年と博物館開館10周年を記念して、2013年3月23日にリニューアルオープンしました。2023年には市政60周年と博物館開館20周年に合わせて、再度リニューアルされています。
いのちのたび博物館は、「生命の進化の道筋と人の歴史」をテーマに展示しています。このテーマを通して、未来に向けて私たちがどのように生きるべきかを考えるきっかけを提供しています。来館者が楽しみながら学べるよう、エンターテインメント性を重視し、壮大なスケールで展示を展開しています。
展示空間は、来館者がショッピングモールを散策するような感覚で楽しみながら学習できるように設計されています。中心となるメインストリートは「アースモール」、「カルチャーモール」と名付けられており、その周囲にエンバイラマ館や探究館などの展示スペースが配置されています。
地学現象エリアでは、地球の成り立ちや地学的な現象を解説しています。地球は約46億年前に形成され、その後も大陸移動や火山活動などの地殻変動が続いています。展示室には、地球儀や岩石、鉱物のサンプルも展示されており、地球の進化を視覚的に学べるようになっています。
アースモールは、生命の誕生と進化の歴史を振り返る展示エリアです。約40億年前に地球上に誕生した生命は、多様な形態に進化してきました。アースモールでは、この長い進化の過程を代表的な生物の展示を通じて紹介しています。
エンバイラマ館の白亜紀ゾーンでは、約1億3000万年前の北九州地域を再現したジオラマが展示されています。恐竜たちの生活や当時の自然環境が、学術的な資料に基づいて再現されています。恐竜以外にも昆虫や植物など、太古の北九州を細部にわたって体感できます。
生命の多様性館は、2階と3階にわたって展示されており、地球上の多様な生物の進化を紹介しています。2階では、植物や動物の展示が中心で、無脊椎動物から脊椎動物まで幅広く取り扱っています。3階では、特に昆虫類と鳥類に焦点を当て、彼らの進化と多様性を解説しています。
自然発見館では、北九州の自然環境に焦点を当て、市内で観察できる地学現象や生物を紹介しています。各コーナーでは、北九州の大地、海、川と池、林、草原などの環境がジオラマで再現されており、地域の自然に親しむきっかけを提供しています。
探究館では、弥生時代の北九州地域の生活様式を復元した展示が行われています。長野小西田遺跡をモデルに、弥生時代の水さらし場や住居の様子が再現され、当時の家族の生活風景をリアルに体感できます。
昭和30年代の社宅エリアでは、北九州が工業地帯として栄えていた昭和時代の暮らしを再現しています。社宅に暮らす家族の日常生活が展示され、1950年代の北九州の生活様式を紹介しています。
北九州市立いのちのたび博物館は、自然史と歴史を融合させた展示が魅力的な博物館です。生命の進化や人類の歴史を壮大なスケールで学べるこの博物館は、来館者に楽しく学習の機会を提供しています。地元北九州の自然や文化にも触れられるため、訪れるたびに新しい発見があります。これからも多くの人々に愛される施設として、その歴史と進化を続けていくことでしょう。