河内藤園は、福岡県北九州市八幡東区に位置する私営の藤園です。美しい藤の花と紅葉を楽しむことができ、特に春と秋の限定された時期に開園されます。敷地面積は3000坪あり、広大な自然の中で四季折々の風景を楽しむことができます。
河内藤園には、長さ80メートルと110メートルの藤のトンネルがあり、それに加えて藤のドームや大藤棚も存在します。これらの藤棚の花下面積は約1850坪に及び、圧巻の美しさを誇ります。また、藤のほかにも約700本の紅葉の木が植えられており、その中には樹齢70年から80年を超える貴重な木も18本含まれています。
河内藤園は1977年(昭和52年)4月に、樋口正男氏によって初めて開園されました。藤を中心とした園内の景観は、その後の開墾と努力の成果として多くの人々に愛されています。
河内藤園には、野田長藤、口紅藤、赤紫藤、青紫藤、紅藤、白藤、八重藤、長藤、中藤、短藤など、全22種類もの藤が揃っています。特に大藤棚には樹齢100年を超える藤もあり、その壮大な藤の花を観賞することができます。藤のほかにも、躑躅(つつじ)が咲き誇り、春の園内を彩ります。
特に人気が高いのは、80メートルと110メートルにわたる藤のトンネルです。このトンネルを歩けば、頭上に広がる藤の花が風に揺れる美しい光景を体感できます。また、1000坪の広さを誇る大藤棚も見逃せません。ここでは、野田長藤が一面に広がり、壮大な景観を提供します。
春は4月下旬から5月中旬まで、藤の花が見頃を迎えます。その年の天候や藤の開花状況により、開園期間は若干変動することがあります。入園料は500円から1500円で、開花状況に応じて料金が異なります。藤の見頃の時期は当日券が発売されず、コンビニのMMSや「JAPANiCAN.com」などの訪日外国人向け予約サイトで、事前にチケットを購入する必要があります。
秋は11月中旬から12月初旬まで紅葉の時期に開園されます。紅葉もその年の気候により変動があるため、開園期間が変更されることがあります。秋の入園料は300円と、比較的リーズナブルです。
河内藤園では、多くの観光客が来ることで藤にダメージを与える恐れがあるため、CMや宣伝を一切行っていません。また、テレビや雑誌の取材も受け付けておらず、長い間口コミのみでその存在が広まっていました。しかし、2012年に海外のインターネットサイトで「実在する世界の美しい場所10」「世界の絶景10」として紹介されたことで、その美しさが一気に世界中に広まり、TwitterやFacebookなどのSNSでも高評価を得ました。
戦中・戦後を生き抜き、家族を守りながら働き続けた樋口正男氏は、生活が落ち着く頃に幼少時代の夢を思い出しました。「この雑木の山に美しい藤を植え、多くの人々に楽しんでもらいたい」という思いです。1968年(昭和43年)にその夢を家族に打ち明けると、皆が賛同し、長男とともに開墾を始めました。
作業は決して簡単ではありませんでした。固い地盤と多くの岩石に阻まれながらも、正男氏と家族は地道に努力を重ね、ついには山の斜面をひな壇状に整備し、約1000坪の大藤棚と藤のトンネルを完成させたのです。
最初に植えられた藤は、河内貯水池建設の際に湖底に沈むことになった河内村から移植されたものでした。この藤は「河内藤園はじまりの木」として大切に育てられ、現在では樹齢120年を超える大藤へと成長しています。
自家用車で訪れる場合、北九州高速道路4号線の大谷出入口から福岡県道62号北九州小竹線を経由し、約20分(8.5km)の距離に位置しています。園内には200台分の駐車場が用意されています。
公共交通機関を利用する場合、JR九州鹿児島本線スペースワールド駅で下車後、イオンモール八幡東から西鉄バス北九州の上重田行きに乗車し、終点から徒歩約45分(3.6km)で到着します。また、八幡駅からはシャトルバスが運行される場合もありますので、事前に確認することをお勧めします。