安国寺は、福岡県嘉麻市に位置する天台宗の寺院です。寺の背後には白馬山がそびえ、長い歴史と伝説に包まれた神聖な地として知られています。
安国寺は、南北朝時代の動乱による戦死者の霊を弔うため、足利尊氏とその弟・直義によって暦応2年(1339年)に建立されました。足利尊氏が多々良浜の戦いで敗走中に、当地の白衣観音像に祈りを捧げ無事に逃れることができたという逸話があり、この地が選ばれたと伝えられています。
白衣観音像は、足利尊氏が菊池氏との戦いに敗れた際に祈りを捧げたとされる像であり、現在は福岡県の有形文化財に指定されています。安国寺奥の院の岩屋に安置されているこの坐像は、尊氏が九死に一生を得たことに感謝の意を表すための象徴とされています。
かつては七堂伽藍(主要な7つの建物を備えた寺院)を有する大寺院でありましたが、文安元年(1444年)の兵火によって一度焼失しています。その後、文明2年(1470年)に再建され、天正2年(1574年)には仏殿、元和8年(1622年)には観音堂が再建されました。現在の本堂は大正時代に再建され、安国寺の象徴として多くの参拝者を迎えています。本尊として祀られているのは千手観音です。
境内には、全国的にも珍しい灯篭型の六地蔵菩薩像が安置されています。これは特異な形状で、訪れる人々の注目を集めています。
また、安国寺には当地出身の大坂相撲の第11代横綱・不知火光五郎の墓も存在し、相撲ファンにとっては貴重な訪問先となっています。
安国寺は、原生林に囲まれた自然豊かな環境に位置し、境内では深い歴史と静寂な雰囲気を感じることができます。寺院に隣接する梅林公園には、およそ400本もの紅梅や白梅が植えられており、福岡県内でも有数の梅の名所として知られています。毎年春になると、境内は美しい梅の花で彩られ、多くの観光客が訪れます。
安国寺への訪問をお考えの方に向けて、以下の情報を参考にしてください。
福岡県嘉麻市下山田288
無料で拝観いただけます。
自由に拝観可能です。
寺院には駐車場が完備されており、車でのアクセスも便利です。
歴史の奥深さと自然の美しさを兼ね備えた安国寺は、訪れる人々に静寂と安らぎを提供する場所です。福岡県内の観光スポットとしてぜひ足を運び、歴史的な足跡を感じるとともに、自然の豊かさにも触れてみてはいかがでしょうか。