朝倉市秋月博物館は、福岡県朝倉市に位置する郷土博物館です。この博物館は、旧秋月藩黒田家に関する資料や、秋月にゆかりのある史料を展示しており、地元の歴史や文化を伝える貴重な施設となっています。筑前の小京都と称される「秋月」の城下町にあり、訪れる人々に江戸時代の風情を感じさせる佇まいで親しまれています。
朝倉市秋月博物館の前身は、1965年(昭和40年)に開館した「秋月郷土館」です。当初は、旧秋月藩黒田家にまつわる貴重な資料や、秋月地域に関する歴史的な史料を展示し、地元の文化遺産を紹介する役割を果たしていました。
2013年(平成25年)には、財団法人秋月郷土館から施設及び収蔵品が朝倉市に譲渡され、「朝倉市秋月郷土館」として新たな一歩を踏み出しました。これにより、地域社会により密着した運営が行われるようになり、多くの市民や観光客に愛される博物館となりました。
2017年(平成29年)には、「朝倉市秋月博物館」に名称が変更され、秋月藩校「稽古館」跡地に新たに移転し、新築された施設で再開館しました。これにより、より多くの人々が訪れやすくなり、展示内容も充実したものとなっています。
博物館の理事長には、旧秋月藩黒田家の14代当主である黒田長栄氏が、名誉館長には15代当主の黒田長幹氏が就任し、歴史と伝統を重んじる運営がなされています。
「島原の乱図屏風」は、島原の乱を描いた屏風としては他に類を見ない傑作であり、博物館の至宝とされています。戦国時代末期の一大事件である島原の乱を、緻密な筆致で描写したこの屏風は、歴史的価値が非常に高く、多くの来館者の注目を集めています。
秋月藩初代藩主である黒田長興が使用していた「蝙蝠兜および甲冑」も、博物館の重要な収蔵品の一つです。この甲冑は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武士の美意識や技術力を感じさせる貴重な資料であり、黒田家の歴史を物語る象徴的な品となっています。
地元出身の実業家によって寄贈された「土岐コレクション」も見逃せません。このコレクションには、横山大観などの著名な日本画家の作品が含まれており、質の高い芸術作品が多数展示されています。これらの作品は、秋月の歴史と文化を芸術的に表現したものとして、多くの来館者の心を魅了しています。
朝倉市秋月博物館は、秋月城下町のメインストリートである「杉の馬場」に面しており、お客様を迎える施設入口は伝統的な冠木門が設置されています。この門をくぐると、歴史の薫りが漂う中庭へと続き、訪れる人々に秋月の歴史を感じさせる空間が広がっています。
観覧受付では、博物館の展示内容や秋月の観光案内についての情報を提供しています。ロビーには、『あさくらの歴史と文化』や『あさくら‐観光案内‐』をビデオで紹介するコーナーが設けられており、関連図書の閲覧も可能です。訪れる人々は、ここで秋月や朝倉市についての情報を得ることができ、観光の参考にすることができます。
展示室1では、秋月氏が13世紀に朝倉地域を領有していた時代から、江戸時代の秋月黒田家の支配、そして現代の朝倉市誕生に至るまでの歴史を幅広く紹介しています。また、秋月においてキリスト教が信仰された歴史についても取り上げられており、地域の多様な文化背景を学ぶことができます。
展示室2は美術館として、横山大観や岸田劉生、ルノワールなどの名画をはじめ、彫刻や工芸品を展示しています。季節ごとに展示替えが行われており、地元出身の芸術家である萩谷巌氏などの作品も紹介されています。これにより、訪れるたびに新しい発見があり、何度でも楽しめる展示内容となっています。
甘木鉄道甘木線・西鉄甘木線の甘木駅より、甘木観光バス秋月線に乗車し、「博物館前」停留所で下車してください。そこから徒歩1分(約100m)で到着します。公共交通機関を利用することで、便利に博物館を訪れることができます。
お車でお越しの場合は、大分自動車道甘木インターチェンジから約10kmの距離にあります。周辺には有料駐車場も整備されており、安心して車での来館が可能です。秋月城下町の風情ある景観を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。
朝倉市秋月博物館は、秋月の歴史と文化を深く学ぶことができる魅力的な施設です。地元の歴史や美術品に触れることで、秋月の魅力を再発見し、より一層楽しむことができるでしょう。訪れる際には、ぜひ博物館を訪れて、秋月の豊かな文化に触れてみてください。