田川市石炭・歴史博物館は、福岡県田川市に位置し、かつて日本のエネルギーを支えた筑豊炭田の石炭産業に関する資料を展示する博物館です。筑豊地方最大の炭鉱であった三井田川鉱業所伊田坑の跡地に、1983年に「田川市石炭資料館」として開館し、2005年に現在の名称に改称されました。
この博物館では、石炭鉱業の歴史や、炭鉱労働者の生活に関する資料を豊富に展示しています。筑豊地区の石炭の生成や採掘に関する地質学的な説明から、採掘道具や機械の進化、そして炭鉱労働者の労働風景や生活を描いた絵画や写真が展示されています。屋外には、炭坑で実際に使われた電気機関車やトロッコ、炭坑用機械が展示され、さらに当時の炭鉱夫が暮らした炭鉱住宅も再現されています。
館内では、石炭鉱業の原始的な採掘方法から近代的な技術まで、石炭産業の進化がわかりやすく展示されています。特に、筑豊炭田での炭鉱労働者の労働環境や生活の変遷を描いた展示物は、訪れる人々に深い感動を与えます。さらに、炭鉱労働者であり画家であった山本作兵衛の貴重な作品も展示されており、彼の絵画や日記を通じて、当時の炭鉱の様子を生々しく伝えています。
田川市石炭・歴史博物館に所蔵されている山本作兵衛の作品は、2011年にユネスコの「世界の記憶」(世界記憶遺産)に日本で初めて登録されました。山本作兵衛の絵画や日記は、当時の炭鉱労働者の生活や労働環境を克明に描写しており、石炭産業の歴史を知る上で非常に貴重な資料です。博物館には彼の作品が627点展示されており、訪れる人々はその繊細な描写に感銘を受けることでしょう。
博物館の屋外展示スペースでは、炭坑で実際に使われた大型の機械や、トロッコ、電気機関車などが展示されています。また、標準的な炭鉱住宅も再現されており、当時の炭鉱夫の生活をより身近に感じることができます。これらの展示は、石炭産業の実態を視覚的に体験できる貴重な機会を提供しています。
田川市石炭・歴史博物館は、石炭記念公園内にあります。この公園には、田川市のシンボルである三井田川炭鉱の二本煙突と伊田竪坑櫓があり、筑豊炭田遺跡群として国の史跡に指定されています。また、炭坑で使用された蒸気機関車9600形(59684)や石炭車が保存されており、歴史的な風景を楽しむことができます。
石炭記念公園内には、炭坑節発祥の地を記念する碑も建てられています。炭坑節は、炭鉱労働者が歌った作業歌であり、そのリズムは今も地域の文化の一部として残っています。この記念碑は、炭鉱の歴史を記憶し、後世に伝える役割を果たしています。
田川市石炭・歴史博物館には、石炭産業に関連する約1万5千点の資料が収蔵されています。それだけでなく、博物館には日本最古級の馬形埴輪や甲冑形埴輪、セスドノ古墳から出土した古墳時代の武器や馬具、さらに天台寺跡(上伊田廃寺)から出土した新羅系瓦など、全国的に注目される考古・歴史資料も展示されています。これにより、博物館は石炭産業だけでなく、日本の古代史や文化財についても学べる場となっています。
〒825-0002 福岡県田川市大字伊田2734-1 石炭記念公園内
9:30 - 17:30(入館は17:00まで)
月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、年末年始(12月29日 - 1月3日)
大人:400円
高校生:100円
小・中学生:50円
団体割引:大人280円、高校生70円、小・中学生30円(20名以上)
障がい者割引:大人100円、高校生50円、小・中学生30円
その他割引:65歳以上280円、福岡県立大学生280円
土曜日:高校生以下は無料
電車:田川伊田駅より徒歩8分
バス:西鉄天神高速バスターミナルから西鉄バス筑豊特急に乗車し、石炭記念公園口バス停下車、徒歩5分
車:九州自動車道小倉南インターチェンジから約22km、または東九州自動車道行橋インターチェンジから17km。駐車場あり。