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香春岳

(かわらだけ)

香春岳は、福岡県田川郡香春町に位置する標高の高い山で、周辺の風景に大きな存在感を示しています。石灰岩で構成された独特の地質を持つこの山は、地域の歴史や産業において重要な役割を果たしてきました。さらに、地元住民や観光客にとって、自然の美しさや文化的な価値を提供しています。

香春岳の概要

標高と地質

香春岳は福岡県の田川郡香春町の中西部にそびえる結晶質石灰岩でできた山です。三つの峰から成り、それぞれが一ノ岳、二ノ岳、三ノ岳として知られています。この地域では、それぞれの山頂が独自の名称で呼ばれており、全体を指して「香春岳」と呼ぶことは稀です。最高峰は三ノ岳で、標高509メートルに達します。

産業としての石灰石採掘

香春岳は高品質の石灰岩で構成されており、これが昭和初期から重要な資源として採掘されてきました。特に製紙原料として使用される高白色度の石灰石は、「寒水石」として珍重されてきました。しかし、この山は消費地からも海からも距離があるため、かつて立地していたセメント工場は閉鎖されました。現在では主に石灰石の採掘が行われており、その一部は工業的に利用されています。

香春岳の峰々

一ノ岳

香春岳の一ノ岳は、かつて標高が現在の倍近くありましたが、石灰石の採掘により現在では元の半分程度の高さになっています。この一ノ岳の採掘場は、上空からでも非常に識別しやすく、航空自衛隊の戦闘機パイロットが地文航法のために目印として利用しています。平坦になった一ノ岳の山頂は、山全体の歴史と現在の姿を象徴する場所となっています。

二ノ岳

現在、二ノ岳も石灰石の採掘が進行中です。これにより、今後の景観の変化が予想されますが、二ノ岳の自然環境や歴史的な価値が保たれることが期待されています。

三ノ岳

最高峰の三ノ岳には、数多くのスカルン鉱床が形成されています。この鉱床は奈良時代から銅鉱石の採掘に利用されており、香春岳の歴史の一部として重要な役割を果たしてきました。三ノ岳は今でもその豊かな自然と地質学的な価値を保っており、観光地としても注目されています。

文化と歴史

香春岳の歴史的な役割

香春岳は、その地質的な重要性だけでなく、文化的にも重要な山です。山頂にはかつて香春岳城があり、また香春神社が山裾や山頂にあった記録も残っています。現在では、この山は香春神社の神体山とされており、信仰の対象としても尊ばれています。

炭坑節との関わり

香春岳は、炭坑節の有名な歌詞「一山 二山 三山 越え」にも登場します。この歌詞は香春岳の三つの峰を指しており、地域の文化や人々の生活に深く根ざしています。このように、香春岳は地域の象徴的な存在であり、その名は広く知られています。

香春岳の小説での描写

『青春の門』と香春岳

香春岳は、作家五木寛之の有名な小説『青春の門』の舞台にもなっています。この作品では、香春岳の風景や歴史的背景が物語の中で重要な要素として描かれています。香春岳の持つ象徴的な力が、文学作品を通じてさらに広く知られるようになりました。

香春岳周辺の観光スポット

香春神社

香春岳の麓には、香春神社があります。この神社は地域の人々に古くから信仰されており、香春岳そのものが神聖視されています。神社への参拝者は、香春岳の荘厳な姿を目の当たりにし、その歴史と自然の美しさに触れることができます。

五徳のホルトノキ

香春町の名所のひとつである五徳のホルトノキも、香春岳を訪れる観光客にとって興味深いスポットです。この木は、その独特な形と歴史的な価値で知られており、地域の自然と調和した観光スポットとして人気を集めています。

まとめ

香春岳は、その自然の美しさ、産業としての重要性、そして地域文化や信仰との深いつながりにより、福岡県田川郡香春町を象徴する山です。歴史や文学、地元産業においてもその存在感は大きく、訪れる人々に多くの魅力を提供しています。今後も、香春岳は地域の観光資源として、その価値を発揮し続けることでしょう。

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名称
香春岳
(かわらだけ)

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