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福智川

(ふくちがわ)

福智川は、福岡県田川郡福智町を流れる川であり、一級水系である遠賀川水系に属する一級河川です。この川は、福智町の豊かな自然と文化に深く根ざしており、その周辺には多くの観光名所があります。

地理と概要

福智川の源流は福智山の南麓にあり、福智町上野(あがの)皿山から流れ出しています。南に向かって流れながら、途中で支流の岩屋川と合流し、最終的には中里で彦山川に注ぎ込みます。流域は緑豊かで、上野峡(あがのきょう)と呼ばれる美しい峡谷が広がっており、白糸の滝や上野焼の窯元などが点在する魅力的な観光地です。

上野峡(あがのきょう)

福智川の源流域である上野峡は、自然豊かな峡谷で、北九州国定公園や筑豊県立自然公園に指定されています。福智山への登山口の一つとしても知られており、古くから多くの人々に親しまれてきました。伝説によれば、ヤマトタケルがこの地を訪れた際、急な坂道を見て「上がり野かな」と感嘆し、その言葉が「上野」という地名の由来となったとされています。

支流:岩屋川

岩屋川(いわやがわ)は、福智町を流れる遠賀川水系の一級河川で、福智川の主要な支流の一つです。岩屋川の上流端は福智町弁城(べんじょう)岩屋にあり、途中には灌漑を目的とする「弁城ダム」が建設されています。ダムのすぐ下流には、珍しい「円筒分水」という施設があり、見学者にも人気のスポットです。

弁城ダム(岩屋川)

弁城ダムは、福智町弁城にある高さ23.1メートルのアースダムで、1966年(昭和41年)に竣工しました。このダムは、周辺の農業用地に灌漑用水を供給する重要な役割を担っています。また、ダム直下にある円筒分水は、その独特な構造から、工学的な興味を引く場所でもあります。

流域の観光名所

福智川流域には、自然の美しさや歴史的な価値を持つ観光名所が点在しています。ここでは、特に人気の高い名所をいくつか紹介します。

白糸の滝

福智川にかかる白糸の滝は、上野峡を代表する名所の一つであり、高さ20メートル、幅7メートルの美しい滝です。この滝は修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)も訪れた場所とされており、白鳳時代から数多くの僧侶が修行に訪れました。また、滝のそばには観音像が祀られており、江戸時代までは「梵音の滝(ぼんおんのたき)」とも呼ばれていました。

虎尾桜

虎尾桜は、福智町のもう一つの観光名所であり、福岡県内で最大のエドヒガン桜です。この桜の木は推定樹齢600年を誇り、その高さは17メートルにも及びます。古くから福智山の霊木とされ、地元の人々に崇拝されてきました。しかし、平成の初め頃には樹勢が大きく衰えてしまいましたが、地元のボランティアによる手厚い保護と樹木医の協力により、現在では再び元気を取り戻しています。

流域の名所

福智川流域には豊かな自然と文化的な名所が数多く存在します。登山口となる福智山や、歴史的な曹洞宗の寺院「興国寺」など、訪れる人々を魅了するスポットが点在しています。

福智山と「上がり野かな」

福智山は、福智川の流域に位置する名山で、登山口のひとつが上野峡にあります。この山には神話が伝わり、ヤマトタケルが急坂を上る際に「上がり野かな」と言ったことから「上野」という地名の由来となったとされています。福智山への登山は、美しい景観と歴史の趣が楽しめる人気のアクティビティです。

興国寺

興国寺は、福智川流域にある曹洞宗の古刹で、筑豊地方で最も古い禅寺のひとつです。地域の歴史と文化に深く根付いており、福智町を訪れる際にはぜひ足を運びたい場所です。

交通アクセス

福智川流域へのアクセスは、公共交通機関および自動車が便利です。最寄り駅は「平成筑豊鉄道伊田線金田駅」で、徒歩約22分(1.8km)の距離です。また、車で訪れる場合は、九州自動車道「鞍手インターチェンジ」より約16km、東九州自動車道「行橋インターチェンジ」からは約19kmです。

福智町内を巡回する福祉バスも運行しており、「上野峡入口」バス停からは、白糸の滝やその他の名所へのアクセスが容易です。

福智川周辺の自然と文化の魅力

福智川は、福岡県福智町を流れる豊かな自然と文化が融合した川です。源流域の上野峡を中心に、白糸の滝や虎尾桜、興国寺といった名所が点在し、多くの観光客に愛されています。また、福智川の支流である岩屋川には、灌漑を目的とした弁城ダムがあり、地域の農業を支える重要な役割を果たしています。福智川を訪れることで、自然の美しさや歴史に触れ、心豊かなひとときを過ごすことができるでしょう。

Information

名称
福智川
(ふくちがわ)

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