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宮若市

(みやわかし)

宮若市は、福岡県の筑豊・宗像地方に位置する市で、北九州市と福岡市の中間にある産業都市です。この地域は古くから宗像市との結びつきが強く、今日では自動車産業の中心地として発展しています。

史跡・文化財

竹原古墳

竹原古墳は国指定文化財(史跡)で、装飾古墳として広く知られています。その美しい装飾は、古代の技術と芸術性を今に伝える貴重な遺産です。

宮若市石炭記念館

旧校舎を活用して設立されたこの記念館は、貝島炭坑の歴史を紹介しています。石炭産業が隆盛を誇った時代の資料や展示品があり、産業遺産としての価値が高いです。

犬鳴山御別館

市指定文化財である犬鳴山御別館は、福岡藩中老職の加藤司書が、福岡城が海に面しており外敵からの防御が難しいことから、有事に備えて築いた居館です。

笠木城跡

笠木城跡は、標高425メートルの笠置山に位置する中世の山城跡です。戦国時代の城跡を散策しながら、歴史に思いを馳せることができます。

貝島百合野山荘

旧貝島六太郎邸として知られる貝島百合野山荘は、一般には非公開となっていますが、重要な文化財として市内に存在しています。

福岡藩家老大音家屋敷跡

宮若市大字山口にある福岡藩家老大音家の屋敷跡は、当時の石垣が今もそのまま残されており、歴史を感じさせる風景が広がっています。

寺社

若宮八幡宮

若宮八幡宮は、旧若宮町の名前の由来となった神社で、文治3年(1187年)に京都から勧請されました。この神社は、若宮河内十八村の鎮守として長い歴史を持ち、地域の人々に信仰されています。

清水寺

清水寺は、奈良時代の天平勝宝2年(750年)に行基によって建立されたと伝えられる真言宗の寺院です。標高300メートルに位置し、若宮盆地を一望できる絶景スポットでもあります。

東禅寺

東禅寺は、明応8年(1499年)に創建された曹洞宗の寺院です。福岡藩主黒田家ともゆかりがあり、鎌倉時代に鋳造された梵鐘が現存する貴重な文化財です。

光明寺

天文6年(1537年)に創建された光明寺は、黒田孝高の正室櫛橋光の姉、妙寿尼の墓所として知られています。歴史的背景と共に、地域の歴史を物語る場所です。

瑞石寺

応永元年(1394年)に創建された曹洞宗の寺院で、大分県国東市の泉福寺末として知られています。江戸時代には多数の末寺を擁し、地域の精神的な拠り所としての役割を果たしていました。

温泉・自然

脇田温泉

脇田温泉は、奈良時代から続く歴史のある温泉地です。現在、2軒の温泉施設があり、古くから湯治場として親しまれています。静かな山間に佇む温泉は、日々の疲れを癒すのに最適です。

所田温泉

宮若市社会福祉センター内にある所田温泉は、地元の人々に愛される温泉施設で、リラックスできる場として知られています。

西山(鮎坂山)

標高644.6メートルの西山(鮎坂山)は、ハイキングや自然散策に最適な山です。四季折々の自然を楽しむことができ、特に秋には美しい紅葉が広がります。

犬鳴山(熊ヶ城)

標高583メートルの犬鳴山は、険しい山容と神秘的な雰囲気を持つ山です。登山者に人気のあるスポットで、周辺にはキャンプ場も整備されています。

いこいの里 千石

千石峡に整備されたキャンプ場「いこいの里 千石」は、自然の中でリラックスできる場所です。澄んだ川の流れや緑豊かな風景が、訪れる人々に癒しを与えます。

キツネノカミソリ群生地

キツネノカミソリはヒガンバナ科の日本在来植物で、7月中旬から8月初旬にかけて開花します。宮若市では、キツネノカミソリが自生する群生地があり、県の絶滅危惧種として保護されています。

清水寺大銀杏

清水寺にそびえる大銀杏は、樹齢700年と推定される名木です。幕末の山崩れによりその一部は埋まっていますが、今もその存在感を放ち、訪れる人々を魅了しています。

農産物・直売所

宮若文化村 河童福祉の里

地元の新鮮な農産物や特産品を販売する「宮若文化村 河童福祉の里」では、観光客が地域の味覚を楽しむことができます。農産物だけでなく、地域に伝わる工芸品や特産品も販売されています。

ドリームホープ若宮

こちらも地元の農産物や特産品を扱う直売所で、観光のお土産にぴったりの品が揃っています。

地理と位置

宮若市は、福岡県の筑豊地方北部に位置し、宗像市の南にあります。福岡市から北東へ約35km、北九州市の小倉北区から南西へ約35kmの距離にあり、北九州都市圏と福岡都市圏の両方に属しています。このため、宮若市は両都市圏への通勤・通学が容易であり、旧宮田町地域は北九州都市圏に、旧若宮町地域は福岡都市圏に属しています。

産業の発展

トヨタ自動車九州と工業都市としての発展

宮若市には、トヨタ自動車九州をはじめとする多くの自動車関連企業の工場が立地しています。2014年度の製造品出荷額は約7880億円で、北九州工業地帯でも有数の工業都市として知られています。また、この工業発展に伴い、2014年度の財政力指数は0.56と、筑豊地方の自治体の中で最も高くなっています。

歴史的背景 - 炭鉱都市からの転換

明治時代には石炭産業が盛んで、旧宮田町には筑豊最大の炭鉱である貝島炭砿がありました。しかし、昭和30年代のエネルギー革命により1976年までにすべての炭鉱が閉山し、その後は自動車産業など新たな工業発展に力を入れるようになりました。

歴史

古代の宗像神領

645年(大化元年)、大化の改新により鞍手郡の西部地域が宗像神領として宗像社に寄進されました。当時、宮若市の地域は宗像郡に属し、笠松地区が「荒木郷」、若宮地区(水原)周辺が「辛家郷」と呼ばれていたとされています。その後、1221年(承久3年)には再び宗像社の神領となり、これが「神田」と呼ばれるようになり、最終的には「宮田」に転じたと伝えられています。

近現代の発展

宮若市は2006年(平成18年)2月11日に鞍手郡の若宮町と宮田町が新設合併し誕生しました。市内には2011年に宮田スマートインターチェンジが開通し、交通の便がさらに向上しました。

経済と産業

自動車産業の中心地

宮若市は、石炭産業から自動車産業への転換を遂げ、自動車関連企業が多く進出しています。トヨタ自動車九州、トヨタ紡織九州、豊田合成福岡工場などの大手企業が市内に工場を構え、地域経済を支えています。特にトヨタ自動車九州は1992年に生産を開始し、それ以降も拡大を続けています。

炭鉱から工業へ - 歴史的転換点

宮若市の旧宮田町はかつて筑豊最大の炭鉱都市として知られていましたが、炭鉱が閉山した後は、工業団地を造成し、主に自動車産業の誘致に成功しました。一方、旧若宮町は炭鉱がほとんど存在せず、農林業が主要な産業でした。

交通

鉄道

市内には鉄道駅がないものの、山陽新幹線が市内を通過しています。かつては1938年まで鞍手軌道が、1989年12月まで宮田線が市内に存在していました。

バス交通

宮若市内では、高速バスやコミュニティバスが運行されています。特に、九州自動車道にある若宮バスストップからは、福岡市や北九州市に向かう高速バスが発着しています。路線バスとしては、JR九州バスが運行していましたが、2019年9月30日をもって廃止され、現在は宮若市乗合バス(コミュニティバス)に転換されています。

方言と地域文化

宮若市では、旧若宮町と旧宮田町で方言が異なります。旧若宮町では、博多弁や宗像弁に近い筑豊弁が使用され、旧宮田町では北九州弁に近い筑豊弁が話されています。「……ちゃ」「……(し)とうと?」などの特徴的な方言が使われるほか、北九州市や宗像市が近いため、イントネーションに微妙な違いがあります。

まとめ

宮若市は、福岡県の北部に位置し、自動車産業を中心に発展している工業都市です。炭鉱から自動車産業への転換に成功し、今日ではトヨタ自動車九州をはじめとする大手企業が市内に拠点を構えています。また、交通の便が良く、福岡市や北九州市とのつながりも強いため、通勤・通学圏としても機能しています。歴史的な背景や方言など、地域独自の文化も色濃く残っており、宮若市は工業都市でありながら、地域の魅力を大切にしています。

歴史的な文化財や寺社、自然豊かな温泉や山々、地元の特産品など、多彩な観光資源を持つ魅力的な街です。訪れる人々は、その豊かな歴史と自然の美しさに触れ、心身ともにリフレッシュできるでしょう。ぜひ、宮若市の観光スポットを巡りながら、地域の魅力を存分に味わってください。

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名称
宮若市
(みやわかし)

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