福岡県の中央部に位置する田川市は、筑豊地方を代表する自治体の一つです。飯塚市、直方市と共に「筑豊三都」と称され、かつて筑豊最大の炭都として栄えました。炭坑節発祥の地としても有名で、炭鉱の歴史を活かしたまちづくりが進められています。
田川市石炭・歴史博物館は、田川の炭鉱に関連する資料や古代から現代までの地域の歴史、さらに山本作兵衛の炭鉱記録画などを展示している博物館です。この博物館は、石炭記念公園に隣接しており、炭鉱文化に触れることができる重要なスポットです。
地域に根ざした芸術作品を展示する美術館で、地元のアーティストの作品や特別展が開催されています。芸術愛好家にはぜひ訪れてほしい場所です。
中村美術館は、地元出身の芸術家による作品を中心に展示している施設です。特に、田川に縁のある作家たちの絵画や彫刻などが紹介されており、地域の文化的な豊かさを感じることができます。
現代美術をテーマにしたギャラリーで、前衛的なアート作品や最新の芸術トレンドに触れることができます。アートに興味のある方は見逃せないスポットです。
炭鉱節にも歌われた2本の大きな煙突や巻き上げ機が保存されている石炭記念公園は、田川の炭鉱史を象徴する公園です。炭鉱の歴史を学ぶだけでなく、広々とした敷地内で自然を楽しむこともできます。
地域の文化活動の拠点として機能している施設で、青少年向けのイベントやワークショップが定期的に開催されています。田川市の文化発信の場としても人気です。
夏季には多くの市民や観光客で賑わうプール施設です。家族で楽しむことができるレジャースポットとしておすすめです。
美しい日本庭園が広がる池のおく園は、四季折々の風景を楽しめる場所です。特に紅葉の季節には多くの観光客が訪れます。
市民の憩いの場として親しまれている公園で、散策やピクニックに最適です。広々とした芝生があり、家族連れに人気のスポットです。
後藤寺地区に位置する丸山公園は、桜の名所として知られています。春になると多くの花見客が訪れ、美しい桜の景色を楽しむことができます。
伊田地区に位置する成道寺公園は、ツツジの名所です。春には鮮やかなツツジが一面に咲き誇り、訪れる人々を魅了します。
県指定文化財として知られる岩屋鍾乳洞は、自然が作り出した神秘的な空間を体感できる場所です。洞窟内の涼しさと独特の景観は、一度訪れてみる価値があります。
美しい眺望を楽しむことができるロマンスヶ丘は、デートスポットとしても人気があります。田川市を一望できる絶景が広がります。
松原温泉は、温泉好きにおすすめのスポットです。リラックスできる温泉施設で、日々の疲れを癒すことができます。
彦山川河川敷で毎年5月の第3土曜日とその翌日に開催される「川渡り神幸祭」は、田川市最大の祭りです。多くの観光客が訪れ、伝統的な神事や川を渡る神輿行列が行われます。
春日神社で5月の第4土曜日とその翌日に行われる神幸祭では、古来から続く神事が執り行われ、地域の人々が参加します。伝統的な衣装を着た人々が神輿を担いで練り歩く姿は見応えがあります。
毎年11月の第1日曜日とその前日に石炭記念公園で開催されるフェスティバルです。炭鉱の歴史をテーマにしたイベントで、音楽やパフォーマンス、地元のグルメを楽しむことができます。
田川市伊田駅の近くに位置する風治八幡宮は、川渡り神幸祭の舞台として有名な神社です。地元住民に親しまれており、祭事の時期には多くの参拝者が訪れます。
田川後藤寺駅近くにある春日神社は、岩戸神楽の舞台として知られています。地元の伝統文化が受け継がれる神社として、訪れる人々に深い感銘を与えます。
小督局の供養塔や南北朝時代の石造七重塔がある成道寺は、歴史的な価値が高い寺院です。静かな境内で心を落ち着けながら、歴史を感じることができます。
風鈴のトンネルが有名な平等寺には、ガッツポーズ地蔵や親子地蔵など個性豊かな仏像が多数存在します。訪れる人々は、それぞれの地蔵に願いを込めて参拝します。
白鳥神社は、地域の守護神として信仰されており、特に地域行事の際には多くの参拝者が訪れます。
静寂に包まれた天慎寺は、心の平安を求める参拝者に人気の寺院です。美しい庭園も見どころの一つです。
西福寺は、地域の仏教文化を伝える寺院で、訪れる人々に心の安らぎを提供しています。
国指定史跡として登録されているこの伊田坑跡は、田川市の炭鉱産業の歴史を今に伝える貴重な遺構です。
田川市の石炭産業を象徴する建造物で、炭鉱の歴史的な背景を学ぶことができる場所です。
田川市は福岡県のほぼ中央部に位置し、北九州市中心部から南南西に約30km、福岡市から東北東に約50kmの距離にあります。また、行橋市からは西に約20kmの位置にあり、旧豊前国に属していたことから、北九州市や行橋市などの京築地域との関係が深く、北九州都市圏にも属しています。
市内は三方を山々に囲まれ、東には田川市のシンボルである香春岳、西には船尾山、南には英彦山(ひこさん)を主峰とする山々が連なります。英彦山は全国的に霊峰として知られ、信仰の対象となっています。また、市内を流れる彦山川と中元寺川は、英彦山を源流とし、市内の平野部を潤しています。
内陸部に位置しているため、田川市は冬季に寒さが厳しく、放射冷却の影響で気温が下がりやすくなります。積雪することもあり、冬の冷え込みが強い一方、夏季には真夏日が続き、35度を超える日も珍しくありません。
市内を流れる主要な河川には、以下の3つがあります。
田川市は、かつて筑豊最大の炭鉱都市として栄えていました。1889年(明治22年)、田川採炭会社が後藤寺に2カ所、伊田に1カ所の炭鉱を開設し、炭鉱開発が本格化しました。その後、全国から多くの移住者が集まり、1904年(明治37年)には三井鉱山(現・日本コークス工業)が経営権を取得し、さらに炭鉱都市としての基盤が強化されました。
1943年(昭和18年)、田川郡後藤寺町と伊田町が合併し、田川市が誕生しました。戦後の1950年代には人口が10万人を突破しましたが、1960年代のエネルギー革命による石炭から石油への転換に伴い、炭鉱産業は衰退。1964年(昭和39年)には三井田川鉱業所が閉山し、さらに1969年には新田川炭鉱も閉山、1971年には市内全ての炭鉱が閉山しました。
炭鉱閉山後、田川市の人口は急激に減少しましたが、産業の転換が進められました。市内には工業団地が整備され、製造業や流通業が進出し、また交通インフラも整備されました。国道201号田川バイパスや烏尾トンネル、国道322号バイパスの開通により、福岡市や北九州市へのアクセスが大幅に向上しました。観光面では、田川市石炭・歴史博物館が所蔵する「山本作兵衛炭鉱記録画」がユネスコ記憶遺産に登録され、多くの観光客が訪れるようになっています。
田川市石炭・歴史博物館は、炭鉱産業で栄えた田川市の歴史を学ぶことができる施設です。館内では、山本作兵衛が描いた炭鉱の記録画が展示されており、これらの作品はユネスコ記憶遺産にも登録されています。炭鉱の歴史を知るためには欠かせないスポットです。
田川市のシンボルである香春岳は、三つの山頂を持つ特徴的な山です。香春岳の第一峰は石灰岩の採掘によって削られており、現在ではその美しい岩肌を見ることができます。登山客にも人気のスポットで、山頂からの眺望は素晴らしく、遠くまで見渡せます。
田川市からも近い英彦山は、全国的に霊峰として知られる山で、古くから信仰の対象とされてきました。山頂へは登山道が整備されており、多くのハイカーが訪れています。自然豊かな風景を楽しみながら、歴史的な神社仏閣も巡ることができる魅力的なエリアです。
田川市は1943年に後藤寺町と伊田町の合併により誕生しました。さらに、1955年には猪位金村を編入し、現在の市域が形成されました。市内は、後藤寺、伊田、猪位金などの地域から成り立ち、それぞれの地域が歴史的な背景を持っています。
田川市は、かつて筑豊最大の炭鉱都市として栄え、炭鉱の歴史を背景にした観光資源が豊富な地域です。炭鉱産業が衰退して以降、人口減少に直面しているものの、観光や工業の発展によって再生を図っており、魅力的な自然と歴史を体感できる場所です。これからも、田川市はその独自の歴史と文化を活かし、地域の活性化を進めていくでしょう。