筑後吉井は、福岡県うきは市に位置する旧吉井町にある伝統的建造物群保存地区です。特に、白壁土蔵造りの街並みで知られ、観光客にも人気の高いエリアです。1996年には「吉井町筑後吉井伝統的建造物群保存地区」という名称で国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、その後、2005年には「うきは市筑後吉井伝統的建造物群保存地区」に改称されました。
この地域は、江戸時代から明治時代にかけての伝統的な建物が数多く保存されており、商家や土蔵などが現存しています。特に明治時代に建てられた162軒の商家は、耐火性の高い土蔵造りで、現代でもその美しい街並みが維持されています。
近年では、地元住民や移住者が空き家を改装して店舗として活用する動きも見られ、観光地としての魅力がさらに高まっています。観光客は、この歴史的な街並みを楽しむだけでなく、地域の文化や歴史に触れることができるイベントや施設を訪れることもできます。
筑後吉井エリアは、江戸時代には宿場町として栄えました。久留米城下町と天領日田を結ぶ豊後街道沿いに位置し、商人や旅人が行き交う賑やかな場所でした。明治時代に入ると、木蝋の生産や酒造業が盛んになり、商人たちはその富を「吉井銀」として称されるほどの財力を蓄えました。
この地域は、明治初期までに3度の大火に見舞われました。大火を教訓に、耐火性を高めるために土蔵造りの建物が多く建てられるようになりました。特に、豪商たちは贅を尽くした「居蔵屋(いぐらや)」と呼ばれる商家を建て、火災から家を守る工夫が凝らされました。
現在でも、この地域には約250軒の伝統的な建物が保存されており、白壁土蔵造りの美しい街並みが見られます。これらの建物は、歴史的な価値が高く、観光地としての魅力も高まっています。特に、豊後街道沿いの街並みは、昔のままの姿を残しており、訪れる人々に歴史を感じさせる風景が広がっています。
毎年春には「筑後吉井おひなさまめぐり」が開催され、多くの観光客が訪れます。町全体がひな人形で彩られ、歴史的な建物の中に展示される美しいひな人形を楽しむことができます。
旧酒蔵を改修した「観光会館 土蔵」では、観光案内所として観光マップの配布や、電動自転車の貸し出しなども行っています。歴史的な建物でありながら、現代の観光客にも便利なサービスが提供されています。
江戸時代、久留米城の城下町と天領である日田を結ぶ豊後街道沿いに宿場町として発展しました。1664年(寛文4年)には、大石水道と長野水道が開削され、この地域は一大穀倉地帯として成長しました。これにより、吉井も商品作物の集散地として栄えました。
江戸時代末期からは、酒や油、木蝋などの商品作物を加工する産業が栄え、在郷町として繁栄しました。また、吉井の商人たちは金融活動にも力を入れ、その富を「吉井銀」と呼ばれるほどの財力を築きました。
明治2年(1869年)の大火を契機に、吉井の商人たちはその財力を誇示するかのように、贅を尽くした蔵造りの商家を建てました。これらの建物は「居蔵屋」と呼ばれ、大正時代には新町や蛭子町に立ち並ぶようになりました。しかし、昭和初期の戦時体制や農地改革により、経済活動は衰退し、居蔵屋の数は減少していきました。
1984年頃から、官民一体となって町屋の保存活動が始まりました。1996年には重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在に至るまでその美しい街並みが保たれています。
JR久大本線の筑後吉井駅から徒歩10分でアクセス可能です。駅からは、のどかな街並みを歩きながら、歴史的な建物を楽しむことができます。
大分自動車道の朝倉インターチェンジから約7kmの距離にあり、マイカーや観光バスでも訪れることができます。駐車場も整備されているため、車でのアクセスが便利です。
筑後吉井は、江戸時代からの歴史を持つ伝統的な町並みが残る、福岡県うきは市の貴重なエリアです。豊かな歴史と文化に触れながら、観光客は古き良き日本の風景を楽しむことができます。観光施設も充実しており、イベントや施設を通じてさらに深くこの地域の魅力を感じることができるでしょう。