久留米市鳥類センターは、福岡県久留米市東櫛原町に位置する中央公園内にある鳥類園です。かつては「久留米市動物園」として知られていました。鳥類センターは、日本国内でも数少ない鳥類専門の動物園として、多種多様な鳥類を展示しています。遊園地やプールといった施設も併設されています。
この鳥類センターは、久留米市の市街地北東端に位置し、敷地面積は約30,000平方メートルです。1963年頃から「千羽孔雀」で有名になり、「世界一クジャクの多い町」としても知られるようになりました。現在でもインドクジャクの飼育数は約90羽に達しており、園の中心的存在です。特に4月から5月の求愛シーズンには、クジャクが一斉に羽を広げる光景を楽しむことができます。
クジャクの他にも、ツル、ダチョウ、フラミンゴなどの約80種420羽もの鳥類をはじめとし、哺乳類や爬虫類も展示されています。
鳥類センターはその名の通り「鳥の動物園」を目指しており、飼育されている動物の約9割が鳥類です。小鳥のインコからダチョウといった大型鳥まで、幅広い種類の鳥が展示されています。中でもインドクジャクは、園のシンボル的存在であり、「クジャクの回廊」や「クジャク舎」があります。春から初夏にかけての求愛シーズンには、クジャクたちが一斉に羽を広げる美しい姿が見られます。
1995年から導入された「バードケージ」(水禽舎)は、観客が内部を歩いて水鳥を間近に観察できる大きなケージです。ケージの高さは15.5メートル、直径は25メートルと広大で、鳥たちが自然に近い環境で生活する様子が再現されています。このケージには15種以上の鳥が飼育されています。その他、キジ舎やツル舎、猛禽舎など、さまざまな鳥類の飼育施設が揃っています。
鳥類センターでは、鳥類以外にもボリビアリスザルやマーラ、ケヅメリクガメなどの哺乳類や爬虫類も展示されており、ふれあい動物園としても親しまれています。小さな子供たちが喜ぶウサギやモルモットなども飼育されており、動物との触れ合いを通じて命の大切さを学ぶ場となっています。特に、フラミンゴやリスザルへの餌やり体験なども実施されており、動物たちと近い距離で触れ合えるのが特徴です。
久留米市鳥類センターには、小さな遊園地「プレイランド」も併設されており、子供から大人まで楽しめる施設となっています。観覧車、メリーゴーランド、アストロファイター、スカイサイクルといった乗り物が充実しており、特に観覧車は久留米市内で唯一の観覧車です。高さ30メートルから久留米市内を一望でき、子供たちに大人気です。また、園内には他にもサーカス列車やバッテリーカー、トランポリンなど、楽しい乗り物が揃っています。
観覧車は、1989年に導入されたもので、久留米市内を見渡せる高さ30メートルの大きさを誇ります。観覧車からは、市民プールや久留米市内の美しい景色が楽しめるほか、遠くには緑豊かな自然も広がっています。特に、プレイランドの中心となる存在であり、カラフルな外観が目印となっています。
夏季には、鳥類センター内に市民流水プールが開設され、多くの人々が訪れます。このプールは、1976年に開業して以来、地元住民に愛されてきました。特に、1978年には福岡市および周辺地域の渇水によるプール閉鎖の影響で、一日最高10,175人もの入場者数を記録しました。流水プールや幼児プールがあり、らせん状のウォータースライダーやチューブスライダーも完備されているため、家族連れで楽しめる施設です。
センターでは、鳥類を中心に哺乳類や爬虫類など、多種多様な動物が展示されています。それぞれの動物について以下に分類ごとに紹介します。
久留米市鳥類センターでは、キジの仲間として以下の種が展示されています。これらの美しい鳥たちは、訪れる人々に自然の魅力を伝えています。
水辺を彩る美しい水鳥たちも展示されています。以下の種がセンター内で観察できます。
空を翔ける強力な捕食者、猛禽類も展示されています。猛禽類の美しさと力強さは、多くの訪問者に人気です。
美しい姿で知られるツルの仲間も見逃せません。特に、優雅な動きが観察できます。
大型で地上を走る鳥、走鳥類も展示されています。ダチョウやエミューなど、迫力ある姿を間近で見ることができます。
その他にも様々な鳥類が展示されており、珍しい鳥たちを間近で観察できます。
鳥類だけでなく、以下の哺乳類も展示されています。小型から中型の動物たちが、家族連れを楽しませてくれます。
センターでは爬虫類も見ることができます。以下の種類が展示されています。
センターの特別な展示物の一つとして、オオサイチョウの「カンタ」が挙げられます。「カンタ」は1964年にセンターに移入された個体で、その時点で既に成鳥でした。2010年11月26日まで46年間生存し、日本最長の飼育記録を持つ個体として記録されています。また、世界でも3番目に長寿なサイチョウとして認められています。
久留米市鳥類センターは「見せる」動物園から「触れ合う」動物園へと進化を遂げており、ふれあい教室やリクガメの園内散歩、フラミンゴへの餌やり体験などのイベントが定期的に開催されています。また、学校や地域社会に向けた動物愛護の啓発活動も行われており、移動動物園やバードボランティアなどの取り組みが市民との協力のもとで進められています。
鳥類センターでは、種の保存や繁殖活動にも力を入れています。例えば、中国から譲り受けたタンチョウヅルの繁殖プロジェクトが進行しており、希少種の保護に貢献しています。また、鳥インフルエンザ対策を含む調査研究や、他の動物園との連携も行いながら、動物福祉の向上を図っています。
久留米市鳥類センターの前身である「久留米市動物園」は、1954年に久留米市三本松公園に開設されました。当時の動物園は市民手作りの小規模なものでしたが、戦後の荒廃した社会情勢の中で子どもたちの心を癒す場として重要な役割を果たしていました。1964年に「久留米市鳥類センター」と改称され、1970年には現在の中央公園内に移転し、現在の形へと発展しました。
センターは地域社会との連携を大切にしており、市民ボランティアや学校との協力を通じて、動物愛護思想の普及を進めています。また、命の大切さを学ぶ教育プログラムや職場体験、ゲストティーチャーなどの取り組みを行い、子どもたちの教育にも寄与しています。このような活動を通じて、センターは単なるレジャー施設に留まらず、地域社会に根付いた教育と啓発の拠点としての役割を担っています。
久留米市鳥類センターへは、公共交通機関や自動車でのアクセスが便利です。以下の方法で訪れることができます。
久留米市鳥類センターは、鳥類を中心とした展示だけでなく、動物との触れ合いや遊園地、市民プールなど、家族で楽しめる複合型施設です。動物愛護や命の大切さを学べる場として、地域の子供たちから大人まで多くの人々に親しまれています。季節ごとに異なる展示やイベントもあり、訪れるたびに新しい発見がある魅力的な場所です。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。