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大川市

(おおかわし)

大川市は福岡県南西部に位置し、筑後地方に属する市です。大川市は日本国内外で有名な家具の大生産地として知られています。特に「大川家具」の名前は、国内の家具業界で有名です。豊かな自然環境と歴史的な文化遺産に囲まれた大川市は、観光スポットも多く、訪れる人々に様々な魅力を提供しています。

名所・旧跡・観光スポット

大川市には多くの名所や観光スポットが点在しています。歴史的な建造物や博物館、自然豊かな場所まで、幅広い観光地が訪れる人々を魅了します。

風浪宮(ふうろうぐう)

風浪宮は、大川市の代表的な神社であり、風の神として古くから信仰されてきました。ここでは、2月上旬に開催される例大祭が特に有名で、地元の人々や観光客が多く訪れます。また、境内には国指定重要文化財の石造五重塔があり、歴史的価値の高い建造物が多数残されています。

旧吉原家住宅

大川市の歴史的な建築物のひとつである旧吉原家住宅は、江戸時代に建てられたもので、現在は国の重要文化財に指定されています。建物内では、当時の生活や文化を感じることができ、歴史好きには見逃せないスポットです。

古賀政男記念館

昭和時代を代表する作曲家・古賀政男の記念館で、彼の生涯や功績を紹介しています。音楽に興味がある方には特におすすめの場所で、彼の作品や資料をじっくりと見ることができます。

高橋家住宅母屋・庄分酢

歴史的な住宅である高橋家住宅と、江戸時代から続く酢の製造所である庄分酢は、大川市の伝統的な建物や産業を体験できる場所です。庄分酢では、酢の製造過程を見学できるだけでなく、試飲や購入も可能です。

吉原義郎家住宅と小保の通り

大川市にある歴史的な通りで、江戸時代の風情が色濃く残っています。吉原義郎家住宅は、この通りにある歴史的建造物で、地元の歴史や文化を学ぶのに最適なスポットです。

三潴銀行記念館(九州貨幣博物館)

三潴銀行記念館は、かつての銀行建築を保存しており、現在は九州貨幣博物館として利用されています。ここでは、日本や世界の古銭や紙幣について学ぶことができ、コレクターや歴史好きにはたまらない場所です。

大川市立清力美術館

清力美術館は、旧清力酒造株式会社の事務所を利用して設立された美術館です。館内では、日本画や現代アートなど多様な作品が展示されており、アート愛好者には必見のスポットです。

大川市の文化財

大川市は、数多くの貴重な文化財を有しています。国指定重要文化財から、福岡県指定の文化財、市指定の文化財まで、訪れる人々に歴史と文化の深さを感じさせます。

国指定重要文化財

筑後川昇開橋

筑後川に架かる昇開橋は、国指定の重要文化財です。この橋は、鉄道と歩行者が共用していた日本で唯一の昇開橋として有名で、そのユニークな構造と歴史的価値から観光名所となっています。

旧吉原家住宅

先述の通り、旧吉原家住宅は大川市における重要な歴史的建造物です。江戸時代に建てられたこの家は、当時の建築技術や生活様式を現代に伝える貴重な存在です。

風浪宮(本殿、石造五重塔)

風浪宮の本殿と石造五重塔は、国の重要文化財に指定されています。特に本殿は、見事な彫刻や装飾が施されており、訪れる人々を魅了します。

福岡県指定文化財

木造聖観音坐像

大川市にある木造聖観音坐像は、福岡県指定の文化財です。歴史的価値が高く、仏教美術の一端を知ることができます。

石造狛犬

風浪宮に鎮座する石造狛犬も、福岡県指定の文化財です。この狛犬は、風浪宮を守る神聖な存在として、古くから信仰されています。

宗教施設

大川市には、古くから信仰の対象となっている神社や仏閣が数多く存在します。訪れることで、地域の歴史や文化に触れることができます。

主な神社

風浪宮 (酒見)

風浪宮は大川市を代表する神社で、風の神を祀っています。特に例大祭は、毎年多くの人々が集まり、賑やかな雰囲気の中で行われます。

正一位稲荷大明神

正一位稲荷大明神は、商売繁盛や家内安全を祈願する神社として地元の人々に親しまれています。

水天宮(榎津、上新田)

水天宮は、水の神を祀る神社で、安産祈願や子供の健やかな成長を願う人々が訪れます。

三柱神社 (向島)

三柱神社は、地元の守護神として古くから信仰されています。静かな境内は、心を落ち着ける場所です。

主な仏閣

願連寺

願連寺は、大川市で最も歴史のある仏教寺院のひとつで、境内には榎津久米之介の墓があります。静かで厳かな雰囲気が漂う場所です。

温泉施設

大川市には、訪れる人々の疲れを癒す温泉施設もあります。大川温泉では、リラックスしながら地元の自然を楽しむことができます。

年間行事・祭事

大川市では、年間を通じて様々なイベントや祭事が行われます。これらの行事は、地元の文化や伝統を体験できる絶好の機会です。

主な行事

風浪宮例大祭(2月上旬)

風浪宮の例大祭は、毎年2月上旬に開催され、多くの参拝者が訪れる大規模な祭りです。歴史ある風浪宮を舞台に、神聖な儀式や華やかな出し物が行われます。

肥後街道を行く(4月下旬)

4月下旬には、「肥後街道を行く」という歴史的な行事が行われます。昔ながらの衣装を着た人々が街道を歩く姿は、まるで時代を遡ったような風情を楽しむことができます。

大川花火大会(8月上旬から中旬)

毎年8月には、大川市で花火大会が開催されます。夜空を彩る美しい花火は、夏の風物詩として市民や観光客を魅了します。

大川木工まつり(10月上旬)

大川市の伝統産業である家具づくりを祝う「大川木工まつり」は、10月上旬に行われます。木工製品の展示や販売が行われ、職人技を間近で見ることができます。

大川市の地理と交通アクセス

大川市は福岡県の南西部に位置し、福岡市からは西鉄天神大牟田線の電車とバスを乗り継いで約1時間強で到着できます。市の西部を流れる筑後川が、大川市を家具産業の町として発展させる要因となりました。さらに、市の中心部を流れる花宗川も、筑後川へ注ぎ込む形で流れています。この地形的な特徴が、木工産業や商業施設の集積を促し、独自の経済圏を形成してきました。

筑後川と大川市の関わり

筑後川は、九州を代表する大河の一つであり、歴史的に大川市の発展に大きく寄与してきました。筑後川を利用した水運が、大川市の木工業の基盤を形成したとされています。また、筑後川の河口部は、有明海とつながり、豊富な水産物も大川市の重要な資源となっています。

大川市の河川と橋

大川市内には多くの河川が流れており、以下のような主要な川があります。

また、大川市を流れるこれらの河川には、多くの橋が架かっており、市民の生活や交通に欠かせない存在となっています。例えば、筑後川には大川橋や筑後川昇開橋、新田大橋などがあり、花宗川には花宗橋や新花宗橋、明治橋といった橋が架かっています。

大川市の歴史

江戸時代以前の大川市

大川市の歴史は古く、戦国時代には筑後国柳川城主の蒲池氏の領地でした。また、1537年(天文6年)頃に榎津久米之介によって木工技術が伝わり、これが大川市の木工産業の始まりとされています。江戸時代には、立花宗茂が筑後国の領主となり、大川市周辺を統治していました。

近代の大川市

近代に入ると、大川市は急速に発展しました。1871年(明治4年)の廃藩置県により三潴県が設置され、その後は福岡県へと編入されました。大川市は交通インフラの整備が進み、1888年(明治21年)には八女大川線(現在の国道442号線)が開通、さらに1890年(明治23年)にはオランダ人技師デ・レーケによって筑後川の中央部に導流堤が築かれました。この導流堤は現在も「デ・レーケ導流堤」として大川市の観光名所となっています。

第二次世界大戦後の大川市

第二次世界大戦後も大川市は発展を続けました。1954年(昭和29年)には市町村合併により大川市が正式に市制を施行されました。以降もインフラ整備が進み、特に1966年には大川橋が無料化され、交通の利便性が向上しました。また、観光面でも「昇開橋」が1966年に遊歩道として再開通し、多くの観光客を魅了しています。

大川市の産業

第一次産業:農業と水産業

大川市では、農業が盛んで、特に春から秋にかけて米が栽培され、秋から翌春にかけては麦やイグサが作られています。また、イチゴやイチジクなどの果物の生産も行われており、地域の特産品として全国に出荷されています。

水産業も大川市の重要な産業の一つで、特に有明海に流れ込む筑後川の河口部では「福岡海苔」の一種である海苔の養殖が行われています。また、エツという魚もこの地域で採れる珍しい魚で、毎年5月下旬から7月上旬にかけて筑後川下流域に遡上してくる姿が見られます。

第二次産業:家具産業

大川市の基幹産業である家具・建具産業は、国内外に知られる「大川家具」として有名です。この地域には、福岡県柳川市や大木町などを含め、300以上の家具関連業者が集積しています。大川市の家具産業の源流は、筑後川や有明海で使用されていた船を製造していた船大工に由来します。

近年では、住宅様式の変化により据付家具の需要が増加する一方、低価格な外国産家具や少子化による学習机の需要減少など、産業には変化が見られます。しかし、大川市では高品質な家具を提供し続けることで、その地位を守り続けています。

大川市の観光スポット

昇開橋

大川市の観光名所として最も有名なものの一つが「昇開橋」です。この橋は1935年(昭和10年)に架けられた日本で唯一の昇降式鉄道橋であり、現在は観光用の歩行者専用橋として利用されています。川の上を渡りながら風景を楽しめる昇開橋は、観光客に人気のスポットとなっています。

デ・レーケ導流堤

もう一つの観光名所として「デ・レーケ導流堤」があります。1890年にオランダ人技師ヨハニス・デ・レーケによって築かれたこの導流堤は、筑後川の流れを調整するために作られたもので、現在もその姿を残しています。この歴史的な建造物は、日本とオランダの技術交流の象徴として、大川市の重要な観光資源となっています。

まとめ

大川市は、歴史的な背景と豊かな自然環境を活かし、家具産業を基盤にした経済活動が活発な地域です。また、筑後川や昇開橋、デ・レーケ導流堤などの観光名所があり、観光客を楽しませる多様な魅力を持っています。訪れる際には、これらの歴史や産業に触れ、大川市の魅力を存分に楽しんでください。

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名称
大川市
(おおかわし)

柳川・久留米・筑後

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