筑後地方が発祥とされるお菓子”黒棒”は、黒砂糖、卵、小麦粉、重曹を手作業でこねた生地を寝かせ、棒状に成型してオーブンで焼いて作られる。適当な長さに切り揃えた後、黒砂糖やショウガで作った糖蜜を表面に塗り、乾燥させる。黒棒の起源ははっきりしないが、主に九州地方(福岡県筑後地方や佐賀県、熊本県)で作られてきた焼菓子の1種で、かつては九州で小麦だけではなく、サトウキビ栽培と黒砂糖製造もおこなわれていたので農家が菓子として作ったのではないかといわれる。お茶請けとして親しまれている「黒棒」だが、本来は夏バテ防止の夏菓子であったといわれ、カルシウムやミネラルがたっぷり入った健康食品。子どものおやつにどうぞ。
1920年(大正9年)創業の久留米黒棒本舗では、数種の九州産小麦粉をブレンドして、毎日運ばれてくる新鮮な玉子を使い、昔ながらの製法で香ばしく焼き上げた「筑紫路」と、しっとりとして柔らかいケーキのような「福大黒」の2種類の黒棒がある。懐かしさを感じさせる、あたたかみのあるお菓子。