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大端山 霊巌寺

(れいがんじ)

霊巌寺は福岡県八女市黒木町笠原に位置する臨済宗妙心寺派の古刹で、山号を「大端山」とし、本尊には千手観音を祀っています。八女茶の始祖ともされる栄林周端(えいりんしゅうずい)禅師によって応永30年(1423年)に開山され、開基は松尾久家です。この寺は、筑後三十三観音霊場の最終(33番)札所であり、境内には数多くの奇岩がそびえ立ち、福岡県の天然記念物にも指定されています。

霊巌寺の歴史

八女茶発祥の地

霊巌寺は、栄林周瑞禅師によって応永年間に開創された歴史深い禅寺です。南北朝時代の動乱期、禅僧であった周瑞禅師が中国・明から帰国し、茶の種をこの地に持ち帰りました。そして、その栽培方法と製茶技術を地元の庄屋・松尾太郎五郎久家(まつおたろうごろうひさいえ)に伝授しました。これが八女茶の起源とされており、「八女茶発祥の地」として知られるようになりました。

毎年5月2日、八十八夜にあたる頃に行われる「献茶祭」では、周瑞禅師を偲びながら、その功績に感謝を捧げる式典が行われ、地域の人々や観光客が訪れる大切な行事として親しまれています。

修験道の歴史

霊巌寺はかつて修験道場としても機能しており、深山幽谷に囲まれたこの寺は人々の信仰の拠り所となってきました。境内の正規型宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、南朝においても隠密の拠点として使用されていたことを示す証拠とされています。修験道や山伏道とも呼ばれ、修行の場としての歴史を持つ霊巌寺は、八女市の文化と歴史を語る上で欠かせない存在です。

霊巌寺の見どころ

奇岩群と自然の景観

霊巌寺の境内には、日本三大奇岩の一つに数えられる「男岩」をはじめ、壮大な奇岩が点在しています。男岩は高さ12メートル、直径4メートルに達し、迫力ある自然の造形美が訪れる人々を魅了します。男岩のほかにも、女岩、仲人岩、賽河原岩、座禅岩などがあり、それぞれに物語が伝えられています。

これらの奇岩は、凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)が風化と浸食を受けて形成されたものであり、その独特の形状と壮大な景観が特徴です。周端禅師が座禅したと伝えられる座禅岩もあり、訪れる人々は自然の力と歴史を感じることができます。

千手観音を祀る本堂

霊巌寺の本堂には、本尊として千手観音が安置されています。この千手観音像は、弘法大師作と伝えられ、霊巌寺の開創時から人々の祈りを受け止めてきました。特に安産や子育てのご利益があるとされ、地元の人々や遠方からの参拝者が訪れます。

霊巌寺へのアクセスと施設案内

霊巌寺は八女市の黒木町にあり、JR鹿児島本線羽犬塚駅から堀川バス黒木行きに乗車し、終点で降車後、タクシーで18分ほどで到着します。また、九州自動車道八女インターチェンジから車で約24キロメートルの距離にあり、周辺には観光駐車場も完備されています。

霊巌寺は、歴史ある寺院と雄大な自然の景観、そして八女茶発祥の地として、観光客や地域の人々に愛されています。八女茶とともに深い文化と歴史に触れることができる霊巌寺を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
大端山 霊巌寺
(れいがんじ)

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