福岡県 » 柳川・久留米・筑後

風浪宮

(ふうろうぐう)

風浪宮は、福岡県大川市に位置する神社であり、古くから阿曇氏がその祭祀を司っています。この神社は地元の人々から「おふろうさん」として親しまれており、1800年以上の歴史を持つ由緒ある神社です。

祭神

祭神は、海の神である少童命三座(表津少童命、中津少童命、底津少童命)をはじめ、神功皇后(息長垂姫命)、住吉三神(表筒男命、中筒男命、底筒男命)、そして高良玉垂命を祀っています。

風浪宮の歴史

風浪宮は、神功皇后が三韓征伐から帰還する際、192年に筑後国葦原ノ津(現在の大川市榎津)に立ち寄ったことが始まりとされています。当時、阿曇連磯良丸が少童命(ワダツミノミコト)を祀ったのが由来です。その後、神社は代々阿曇氏が守り続け、今日まで長い歴史を重ねてきました。

本殿と文化財

現在の本殿は、戦国時代の筑後国柳川城主であった蒲池鑑盛が1560年に再建したものであり、室町時代後期の建築として国の重要文化財に指定されています。三間社流造で、檜皮葺という日本古来の建築様式を用いており、その構造は簡素ながらも非常に巧みな技術が感じられます。

正平塔(五重の石塔)

境内には、1355年(正平十年)に建立された五重の石塔、通称「正平塔」もあります。この塔も国の重要文化財に指定されており、二重基壇の上に五層の軸部と屋根が重なった見事な構造が特徴です。

白鷺と楠の伝説

神功皇后が新羅征伐からの帰路に、白鷺が突如として現れ、風浪宮のある場所に止まったという伝説が残されています。その白鷺が止まったとされる樟(楠)は、樹齢約2000年を誇り、福岡県の天然記念物に指定されています。地元ではこの楠を「白鷺の樟」と呼び、堂々とした姿が訪れる人々の目を引きます。

風浪宮の信仰と影響

風浪宮は、少童命(ワダツミノミコト)を祀ることから、特に海の神様として崇められています。また、戦国時代の武将であった蒲池鑑盛もこの神社を深く信仰しており、彼が本殿を再建したことが記録されています。そのため、勝運守護や開運の祈願を行う神社としても有名で、江戸時代には久留米有馬藩主をはじめ、多くの人々から信仰を集めました。

磯良丸神社

風浪宮の境内には、阿曇磯良丸(あづみいそらまる)を祀る「磯良丸神社」があります。磯良丸は、神功皇后に従い、船団の海上指揮をとった航海熟練の海士であり、その功績が称えられています。磯良丸の名前に由来し、現代でも船名に「●●丸」と「丸」を付ける習慣が残っています。

風浪宮大祭

毎年2月9日から11日にかけて行われる「風浪宮大祭」は、久留米高良大社や水天宮と並び、筑後地方の三大祭りの一つとされています。この祭りは古くから伝わる神事を数多く取り入れており、2月8日夜の「裸ん行」による厄除け祈願を皮切りに、「お潮井汲み」「お潮井詣り」「御神幸」「流鏑馬」などが執り行われます。期間中、境内には串柿市や植木市が立ち並び、約15万人の参拝客で賑わいます。

風浪宮の文化財

国指定重要文化財

県指定天然記念物

福岡県指定文化財

大川市指定無形民俗文化財

風浪宮への交通アクセス

公共交通機関でのアクセス

西鉄天神大牟田線「西鉄柳川駅」から西鉄バス(佐賀駅行き・大川橋行き)に乗車し、「中原高木病院前」下車、徒歩15分(1.2km)。
JR鹿児島本線「羽犬塚駅」から西鉄バス(大野島農協行き)に乗車し、「酒見」下車、徒歩6分(450m)。

車でのアクセス

九州自動車道「八女インターチェンジ」から14km。駐車場も完備されています。

Information

名称
風浪宮
(ふうろうぐう)

柳川・久留米・筑後

福岡県